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(東日本大震災15years Stories(ストーリーズ)=2)助かった命を使命に 岩手・大船渡市 森操議員

2026.4.11付3面

 穏やかなリアスの海に面する岩手県大船渡市。15年前には東日本大震災の大津波、昨年2月は大規模な山林火災に見舞われた。二度の試練と向き合ってきた住民のため、公明党議員の森操(70)は心を砕き、市政を前に進めている。「どうすれば目の前の一人に安心を届けられるか」。こう自らに問い掛けながら、ただ、ひたすら市民の声を聴き、現場を歩く。

*

 2011年3月11日午後2時46分。市議会は本会議中だった。激しい揺れで議会は中断する。森は議場を飛び出し、外出していた妻・光子さん(79)と合流。直後、真っ黒な大波が堤防を乗り越え、押し寄せてきた。とっさに2人は建物の2階に駆け上がり、九死に一生を得た。時間にしてわずか“1分”。「助かった命を、悩み、苦しむ人のために使っていこう。これが私の使命だ」。胸の奥底から立党精神を奮い立たせた。

 津波被害を免れた自宅に「公明党対策本部」の看板を掲げ、ボランティアの活動拠点や支援物資の集積所として開放。自らも自転車で駆け、住民の安否確認や物資搬送に奔走した。

 震災発生から10日が過ぎた頃、住民の瀬戸口清さん(70)の話を聴く。「車を流されたから、買い物は往復20キロを半日かけて歩くしかない」。森は即座に市の担当課長に直談判し、戸田公明市長(当時)を動かした。避難所やスーパーを巡回する無料バス運行が決定。6路線が設けられ、半年間で約4万人が利用し、市民から大いに感謝された。

 未曽有の大災害。国の制度や支援策が実態に追いつかない。被災した漁船には国の補助があったが、漁具単体は対象外。公明の国会議員と共に動き、漁具にも補助が出るようになった。ホタテ養殖に不可欠な半成貝(生後1年程度)の購入支援も後押し。戸田前市長は振り返る。「森さんは、かゆいところに手が届く施策を進めてくれた。15年たった今も本当に感謝している」

*

 森には18年続けている日課がある。08年4月の初当選以来、ほぼ毎朝通学路に立ち、黄色い旗を手に、登校する児童の安全を見守る。自宅がある前田地区では公民館長を務め、地域の発展に貢献する。地域婦人団体の責任者、佐々木好子さん(83)は「森さんほど頼りになる人はいない」と信頼を寄せる。

■「できることは、何でもやる」

 森の“地元”は広大だ。公明議員がいない隣接の陸前高田市と住田町も「わがまち」。東京23区の面積(約627平方キロメートル)を超える、2市1町(約888平方キロメートル)を舞台に、“一人の困り事”の解決に力を尽くす日々だ。 森の出身は、大船渡から直線距離で1200キロ離れた鹿児島県の種子島。東京水産大学(現・東京海洋大学)を卒業し、水産部門の技術士の国家資格を取得。1990年、研究員として国家プロジェクトを任され、大船渡に移り住んだ。約18年間、積み重ねた研究はカレイやサケの養殖技術の礎に。昨年11月から越喜来湾で進むサーモンの試験養殖にも生かされている。

*

 ハードの復興がほぼ完了した大船渡を再びの災禍が襲う。昨年2月、国内最大規模の山林火災が発生。市面積の1割、約3370ヘクタールが焼失し、住宅など175棟が全壊した。震災後に再建した自宅が燃えた人もいた。森は避難所にいち早く駆け付け、ニーズを的確に把握。3・11の経験から、常備薬の手配や栄養バランスの取れた食事の提供、障がい者への配慮と、一人一人に寄り添った対策を矢継ぎ早に提案し、形にしていった。

 「絶望の淵にいた時、一番最初に来てくれた」。綾里地区で塩蔵ワカメを生産する大澤学さん(54)は自宅兼作業場が全焼。森に窮状を訴えた。市や県の支援を受けられるようになり、加工設備を早期に再建できた。先日、プレハブの作業場を訪ねた森に「今季のワカメは上々の出来だよ!」と声を弾ませた。

 「できることがあれば何でもやるから」。そう語る森の温かなまなざしの奥には「人のために」との強い意志が輝いていた。(文中敬称略。随時掲載)

 =東日本大震災取材班 文と写真・佐藤裕介

# 東日本大震災15years S…

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