公明新聞電子版 詳細ページ
(与党訪中を終えて)日中の関係強化へ大きく前進/西田実仁幹事長に聞く
自民、公明両党の与党訪中団は13~15日に中国を訪問し、自公両党と中国共産党による第9回「日中与党交流協議会」に出席したほか、中国側の要人と会談しました。訪中の意義や成果とともに、24日に召集される第217通常国会の焦点について、西田実仁幹事長に聞きました。=3面に与党訪中の写真特集
■(意義)待望の交流協議会再開
--今回の与党訪中をどう評価していますか。
まず、「日中与党交流協議会」が再開できたことに、非常に大きな意義がありました。交流協議会は政治や経済、外交、文化交流などで幅広く意見を交わし、両国の相互交流を深めて関係を強化することを目的に2006年に始まりました。第9回を数えた今回は、18年10月に日本で開催して以来、6年3カ月ぶりの開催となりました。
昨年11月の石破茂首相と習近平国家主席による首脳会談、翌12月の日中外相会談と、政府間で対話の動きが続いていました。こうした中での交流協議会の再開は、両国の関係改善に向けたモメンタム(勢い)をさらに加速させることにつながったと考えています。
さらに、中国共産党序列2位の李強首相、同4位の王滬寧全国政治協商会議主席(ともに中国共産党中央政治局常務委員)ら多くの要人との会談も実現しました。中国側も関係強化に向けて、今回の機会を大変重視していることを実感する訪問となりました。
■公明、実現を強く主導
--交流協議会の再開に向けて公明党が果たした役割は。
公明党は23年11月、党訪中団が会談した要人に対して交流協議会の再開を呼び掛け、昨年5月に来日した中国共産党中央対外連絡部(中連部)の劉建超部長から開催に向けて準備したいとの意向が表明されていました。
国内では中国への国民感情が悪化する中、公明党は「再開に向けて動き出すべきだ」と自民党に呼び掛けるなど実現を強くリードしてきました。
■(成果)共通課題で協力を深化
--どのような意見が交わされましたか。
両国の共通した課題で協力し合える分野として、気候変動問題における協力の深化や北朝鮮のミサイル発射問題に対する両国間の連携の重要性を訴えました。また、アジア地域に多国間による安全保障の枠組みを構築する必要性も提案し、会談した王毅外相からは「生産的な提案だ」との考えが示されました。
李首相との会談では、党創立者である池田大作・創価学会第3代会長について、「池田先生は1960年代に中日国交正常化を公開の場で呼び掛け続け、重要な役割を果たした」と述べていたことが印象的でした。
■邦人の安全担保も要請
--両国間に横たわる課題については。
日本産水産物の輸入解禁や牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大について、目に見える形での対処を求めました。とりわけ強調したのは、邦人の安全・安心の担保です。蘇州市や深圳市での日本人児童殺傷事件や、企業関係者の拘束によって渡航・滞在への不安は高まっており、日本側の懸念を受け止め、真摯に対応するよう訴えました。
隣国の友人だからこそ主張すべきは主張し、協力し合うところは協力していく当たり前の関係を築いていくことが重要であり、率直に考えを伝える機会になりました。
晩秋には第10回会合が日本で開かれる予定です。今回、中国側から自由討論や率直な意見交換の時間を増やしたいとの要望がありました。充実した議論となるよう尽力するとともに、両国の経済、文化交流も推進します。
■通常国会24日召集
■(予算税制)合意形成へ野党と協議
■(政治改革)「第三者機関」設計急ぐ
■(年金改革)社会保険の加入者拡大
--24日に通常国会が召集されます。
大事なことは25年度予算案の早期成立です。少数与党の中で公明党は、所得税が課され始める年収「103万円の壁」見直しや、教育無償化を巡って野党とも政策協議を重ね、合意点を見いだしていく必要があります。
103万円の壁は25年度与党税制改正大綱において、物価上昇に伴って税負担が増えないよう123万円へと引き上げられます。大綱には公明党の主導で、国民民主党が主張する「178万円への引き上げ」に関する自民、公明、国民民主3党の幹事長合意の内容も盛り込みました。誠実に協議を行っていきます。
教育の無償化については、自公両党と日本維新の会でまずは、高校授業料の無償化について検討を重ねていく方針です。
--このほかには。
政治資金をチェックする第三者機関の国会への設置に向けて、制度を設計していかなければなりません。調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途範囲や公開方法なども早急に決める必要があり、国民の理解が得られるよう取り組みます。
また、パート労働者などの被用者保険の適用拡大といった年金制度改革や、選択的夫婦別姓の導入も重要なテーマです。
公明党は国民の声を反映した政策を実現させるために、幅広い合意形成の要役として働き、政治の流れをつくり出しながら党の存在感を発揮し、来る都議選、参院選の勝利につなげる決意です。