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(主張)「年収の壁」引き上げ/大半の納税者に年2~4万円減税
所得税が課され始める年収「103万円の壁」の見直しを巡り、課税最低限を160万円に引き上げる税制改正関連法案の与党修正案が衆院を通過し、参院に送付された。
自民、公明、国民民主の3党税制調査会長による熟議の中、公明党が合意形成をめざして汗をかき、紡ぎ出した案が反映されたものだ。国民民主との合意はできなかったが、幅広い納税者に恩恵が及ぶ大規模減税となった意義は大きい。
「103万円の壁」について昨年末の与党税制協議では、基礎控除(現行48万円)と、年収が低い層に適用される給与所得控除の最低保障額(同55万円)を10万円ずつ引き上げ、課税最低限を123万円にすることとしていた。
今回の修正案では、物価高の影響を相対的に強く受ける低所得者に配慮し、年収200万円以下の人の基礎控除をさらに37万円上乗せする。その上で、中間所得層を含む幅広い人々の手取り収入が増えるよう、2026年までの2年間、年収850万円以下の人にも控除を上乗せする。
中間所得層を含む上乗せは当初、年収500万円以下を対象とする案が浮上したが、公明党が850万円以下まで拡大する案を提示して与党案を作成。これにより納税者の8割強がカバーされる内容になった。
さらに年収区分により上乗せ額を変えて高所得者優遇を避け、いずれの所得層でも1人当たりの減税額が年2万~4万円と、大きな差が出ない工夫が講じられたことも重要だ。減税総額1兆2000億円の中で、幅広く公平に減税の効果が行き渡るよう知恵を絞った仕組みである。
財政への責任がある与党として、「赤字国債を発行せずに実現可能なギリギリの案」を示したものであり、真摯な議論の結晶であることを強調しておきたい。
修正案の付則には、公明党の提案で物価上昇に応じて基礎控除などを引き上げる規定を盛り込んだ。今後も公明党が国民生活を守る先頭に立ち、合意形成の要として取り組んでいく。