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防災・減災へ20兆円強/老朽インフラ対策を加速/党PTで政府、国土強靱化計画素案を提示

公明新聞2025年4月3日付 1面

 公明党「防災・減災・国土強靱化推進プロジェクトチーム」(PT、座長=赤羽一嘉副代表)は2日、衆院第2議員会館で、政府が1日に公表した、2026年度からの5年間で防災・減災対策を進める「第1次国土強靱化実施中期計画」の素案を巡り、関係省庁と議論した。同計画は25年度で期限を迎える「5か年加速化対策」後の指針となる。素案は今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、6月ごろにも閣議決定される予定。

■盛り込まれた主な施策

  • 中小河川も含めた洪水・内水ハザードマップの作成促進
  • 上下水道などのインフラ老朽化対策
  • 巨大地震への備えとして、住宅・建築物の耐震化や津波対策の強化
  • AIやドローンなど最先端デジタル技術の活用
  • 避難所への自立分散型の再生可能エネルギー設備導入

 冒頭、斉藤鉄夫代表は、計画の事業規模について、21~25年度の15兆円程度を上回る「20兆円強」とする方針に触れ「公明党が一丁目一番地で掲げてきた公約が反映されたものだ。高く評価したい」と強調した。

 その上で、懸念される巨大地震や豪雨災害への対応、インフラの老朽化対策が急務だとし、「国土強靱化のペースをさらに加速させ、強力に推進することが必要だ。計画策定と施策の実施が確実に実行されるよう強く後押ししたい」との考えを力説した。

 政府側は、事業規模について、今後の資材価格や人件費の高騰に伴う影響を受けた場合、「予算編成過程で適切に反映する」とし、20兆円強から必要な予算を積み増していく考えを示した。

■災害対応力の強化も

 素案では▽防災インフラの整備・管理▽ライフラインの強靱化▽デジタル等新技術の活用▽官民連携強化▽地域防災力の強化--の5分野を設け、324施策を26~30年度の5年間で実施する。このうち重点的に推進する116施策には、能登半島地震や埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえ、道路や上下水道などインフラの老朽化対策などを位置付けた。河川の流域全体で水害を防ぐ「流域治水」対策も引き続き推進する。

 南海トラフ地震などの巨大地震に備え、住宅・建築物の耐震化や津波対策も盛り込んだ。地域の災害対応力を高めるため、被災者が尊厳ある生活を営むための「スフィア基準」を踏まえた避難所環境の抜本的改善を図る。

 出席議員は、救助活動や風水害などへの対応に必要な資機材の充実を主張。災害発生時の事業継続計画(BCP)策定を中小企業にも促すよう求めた。