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(参院代表質問で西田幹事長)持続的賃上げ、中小にこそ/促進税制、縮減するな/政治とカネ、不記載問題解明は必須
参院は6日の本会議で高市早苗首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行った。公明党の西田実仁幹事長は「優先すべきは『政治とカネ』の問題に決着をつけ、国民の信頼を回復した上で物価高対策に迅速に取り組むことだ」と力説。中道改革勢力の結集軸となるべく、党の政策の柱として「世界の平和と安定を図る現実的な外交・安全保障」などを掲げるとともに、持続的な賃上げ促進や社会保障制度改革などを訴えた。=2、3面に西田幹事長の質問と首相答弁の要旨
西田幹事長は物価高に関して、庶民の家計の負担を減らす即効性ある対策が必要だと強調。足元の生活に困っている人への支援を迫った。
物価上昇を上回る中小企業の賃上げの定着に向けては、政府が掲げる「2020年代に最低賃金1500円」の目標を確認。その上で、各種施策の財源確保策として浮上している賃上げ促進税制の縮減について「政府の誤ったメッセージとなりかねない」と指摘し、東京商工リサーチの調査で多くの企業が同税制の拡充を求めていることから「縮減するべきでない」と主張した。高市首相は「物価や中堅・中小企業の賃上げの状況を丁寧に見極めて検討する」と答えた。
自民党派閥による政治資金の不記載問題を巡って西田幹事長は、自公両党の政策協議の際にも「真相解明について具体的な行動は何一つ示されなかった」と指摘。不記載議員を政府や党の要職に起用することに7割超の国民が反対の意思を示している世論調査もあるとして「真相解明、けじめが必要だ」と追及した。
■社会保険料、引き下げ財源明確に
高市首相が掲げる現役世代の社会保険料の引き下げなどについては「高齢者の窓口負担を増やして財源を確保する考えか」とただした。首相は「高齢者負担のあり方について検討を進める」として明言を避けた。
■若者活躍へ奨学金改革
西田幹事長は「若者の活躍のため、奨学金減税を含む奨学金改革に取り組むべきだ」と力説し、減額返還制度の拡充なども提案した。
■高校無償化、低中所得層・公立向け支援も重要
26年度から実施する高校授業料の無償化に関しては、低中所得層や地方の公立高校などへの支援も進める必要があると述べた。
多文化共生社会の実現に向けては、対立や偏見を根絶し、互いの尊厳を信じ合う「積極的な寛容」を提唱。「感情的な排斥ではなく、日本人と外国人が互いを尊重し、安心して共に暮らせる環境整備を」と訴えた。
■北東アジア対話機構創設進めよ
外交・安保政策で西田幹事長は「多国間対話による信頼関係の構築が極めて重要だ」として、公明党が掲げる「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設を求めた。
■全般的に不十分な答弁/記者団に西田幹事長
公明党の西田実仁幹事長は6日の参院代表質問後、国会内で記者団に対し、高市早苗首相の答弁について「全般的に答弁は不十分だった。特に『政治とカネ』に関して論点をずらし、はぐらかすような答弁に終始したのは残念だった」と述べた。即効性ある対策を訴えた物価高への対応でも「これまでやってきたこと以外に何も述べられず、全く不十分だ」と語った。
一方、自民党派閥の政治資金問題に関与した佐藤啓氏の官房副長官への起用に野党が反発していることでは「副長官としての資質の問題ではない。『みそぎが済んだ』といわれる選挙後に明らかになった問題について(自民党として)何一つしていない。真相解明へ具体的な行動を起こすしかない」との見解を示した。