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東京デフリンピック開幕/ろう・難聴のアスリートが熱戦/81カ国・地域から参加

公明新聞2025年11月16日付 1面

 耳の聞こえない・聞こえにくい人の国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」の開会式が15日、都内で行われました。「ろう者の五輪」とも呼ばれるデフリンピックは、国内で初の開催。26日までの期間中、東京、福島、静岡の1都2県の会場で21競技209種目が実施されます。世界81カ国・地域から参加した約3000人のろう者・難聴者のアスリートらが、熱戦を繰り広げます。

 デフリンピックは、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催し、夏季、冬季それぞれ原則4年に1度開催されてきました。今大会は夏季25回目となるもので、1924年にフランス・パリでの第1回目の開催から100周年記念となる歴史的な大会です。デフ(Deaf)は英語で「耳が聞こえない」を意味します。

 競技は、一般の競技ルールに準拠しますが、補聴器などの使用は禁止されています。競技運営では、合図をスタートランプや旗で伝えるといった視覚的な情報保障が行われます。選手への応援も、日本手話を基にした「サインエール」で届けられます。

 東京体育館(渋谷区)で行われた開会式では、全日本ろうあ連盟の石橋大吾理事長が「デフアスリートたちが国際手話や身体、表情、その全てで心を通わせ、互いを認め、尊重し合い、プレーする景色は共生社会の姿そのものだ。これこそがデフスポーツが持つ力であり、デフリンピックの意義が大きな光を放っている」と手話であいさつ。アダム・コーサICSD会長は「私たちは聴覚に障がいがあり、さまざまな困難に直面しているが、同時に社会の一員でもある。スポーツはそのことを示す最良の手段の一つだ」と手話で訴え、開会を宣言しました。

 15日朝には、千代田区の日比谷公園エリアで、デフリンピックの独自競技「オリエンテーリング」が行われました。選手が地図とコンパスを頼りに、チェックポイントを順番に回り、ゴールまでのタイムを競うもので、「どのコースが最短か」を常に考えながら走るため、正確で素早い判断力が求められます。

 この日は、男女ともにウクライナ勢が金、銀、銅メダルを独占しました。

■公明、開催など推進。共生の輪広げる機会に

■斉藤代表ら、久松運営委員長と懇談

 開会式には、公明党の斉藤鉄夫代表、岡本三成都本部代表、浮島智子文部科学部会長(いずれも衆院議員)、東村邦浩・都議会党幹事長、松葉多美子・同政調会長らが出席。これに先立ち斉藤代表らは、久松三二・デフリンピック運営委員長(全日本ろうあ連盟事務局長)と懇談。久松委員長が「公明党の皆さんの力で開催の日を迎えられた」と感謝を手話で表現したのに対し、斉藤代表は「大会の成功を祈っている」と応じ、誰もが輝ける共生の輪を広げる機会となることに期待を示しました。

 公明党は、東京デフリンピックの招致・開催準備を一貫して支援。招致を巡り、2020年2月の国会質問で、当時の首相から「国としてもしっかりとバックアップしたい」との答弁を引き出し、東京開催の実現に貢献しました。その後も、政府の24年度補正予算に「全国キャラバン活動」の経費を盛り込むなど、大会の機運醸成に尽力するとともに、手話言語の習得に必要な環境整備などを定めた手話施策推進法(議員立法)の制定をリードしました。都議会公明党も、東日本大震災と能登半島地震の被災4県の子どもらを都内の競技会場へ招待する事業を進めるなど、力強く後押ししてきました。