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(主張)夏休み明けの子ども/不安見逃さぬよう目配りしたい

公明新聞2025年8月30日付 2面

 多くの学校で夏休みが終わり、新学期がスタートする。心配なのは、学校の再開に不安を抱えている子どもたちがいることだ。変わった様子はないか。身近な大人たちが目を凝らしていきたい。

 オンライン上で若者の居場所を提供するNPO法人「第3の家族」が20日に公表したアンケート(7月30日~8月11日実施)の結果によると、学校生活にしんどさを抱える10代のうち、新学期が始まることを「苦しい」と感じている子どもが7割を超えた。

 また同じ調査では、こうした悩みを相談できる人について「いない」との回答が約4割を占めた。同法人の奥村春香理事長は「児童らが悩みを相談するハードルは大人が想定しているよりも高い」と指摘する。子どもたちを守るには、周囲の声掛けなど、大人による目配りや気配りが欠かせない。

 夏休み明けは子どもにとって心身の不調が現れやすい時期だ。とりわけ、夏休み前に学校で傷ついた経験がある場合、さらに不安が募る。食欲不振や不眠、情緒不安定など、表情や行動にSOSが出る場合もある。

 最も懸念されるのは、子どもが自ら命を絶つことだ。厚生労働省によると、昨年の小中高生の自殺者数は過去最多の529人に上り、月別では9月が最も多かった。かけがえのない命を守るため、わずかな変化を見逃さないように心掛けたい。

 学校に通うことが難しい場合は一時的に休むのも選択肢の一つだ。

 その際、不登校支援団体と精神科医が共同で開発した「学校休んだほうがいいよチェックリスト」は参考になる。ネットで検索すればすぐに見つかるので活用してほしい。

 また、悩みを抱える子どもや保護者が相談できる窓口は、学校以外にもある。厚労省は、電話やSNSでの相談先の情報をまとめた特設サイト「まもろうよ こころ」を開設している。こちらの利用も呼び掛けたい。