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妊産婦健診を専用車両で受けやすく/モバイルクリニック事業/長野・伊那市

公明新聞2026年1月14日付 7面

■遠方からの通院負担軽減、家族も一緒に胎児見守り

 長野県伊那市は、オンライン診療機器を備えた車両が患者宅へ出向き、医師が遠隔で内科診療や妊産婦健診に対応する「モバイルクリニック事業」の一環で、新たに妊産婦健診の専用車両「い~なエール」を昨年11月から稼働している。分娩を扱う市内医療機関が伊那中央病院など数カ所に限られており、遠方から通院する妊産婦の負担軽減につなげるのが狙いだ。

オンライン診療車2台目

 市の花である桜色に塗装された「い~なエール」は、モバイルクリニック事業で2台目の車両。車内には、妊婦健診に特化した高画質なエコー(超音波検査)を映し出すモニターが備えられたほか、夫や子どもら家族が同伴できる空間を確保した。妊婦は、家族と一緒に胎児の様子を見守り、妊娠経過や赤ちゃんを迎える喜びを分かち合える。

 県南部に位置し、東西が山脈に囲まれる伊那市の面積は約668平方キロメートルで東京23区より広い。高齢化が進む中山間地域の移動困難者対策や深刻化する医師不足、市中心部への医療機関の偏在が課題となっている。地域医療の課題解決に向け、市は2021年度から、看護師や臨床検査技師を乗せた車両が、通院困難な患者の自宅に赴き、医師がオンラインで内科診療や服薬指導するモバイルクリニック事業を本格的に展開。22年度からは妊産婦健診にも利用を拡大し、内科診療と健診で車両を共同利用してきた。

 一方、これまで妊産婦健診による利用は、主に月曜日の週1回のみで、利用件数は23年度に81件、24年度に55件。車両稼働予定日に対する実際の稼働日を表す「稼働率」が約107%に達し、健診希望者に対応しきれない現状から、車両拡充を求める声が上がっていた。今回導入された「い~なエール」は、月・火・水曜日の週3回稼働する。

 伊那市をモデルにしたオンライン診療専用車の活用が各地に普及しつつある現状を踏まえ、白鳥孝市長は「医師不足や看護師不足の解消に資する試みが、さらに横展開されれば」と期待を寄せる。

■女子中高生の健康相談支援にも活用

 モバイルクリニック事業は若年層の健康相談支援にも役立っている。市は25年度から、市内にある中学校、高校の女子生徒やその保護者から、生理痛の症状や子宮頸がんなど女性特有の身体に関する不調、悩みを聞き取り、必要に応じて助言する「ティーンズスマート相談室」を実施。市内の婦人科クリニックの医師がオンラインで対応する。市は今後、市内にある中学校、高校の計10校から要望があれば随時、相談室を開く予定。

 公明党の湯沢武、篠塚みどり両市議(ともに市議選予定候補)は、予算要望を通じてオンライン診療専用車事業を後押し。湯沢市議は24年3月の定例会で、妊娠、出産、育児の安定した環境づくりの必要性を指摘し、モバイルクリニック事業で妊産婦健診専用車を導入するよう提案していた。

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