公明新聞電子版 詳細ページ
(能登地震2年 現地からの報告=上)住まい/仮設入居なお1万8000人/住民「狭さ、我慢している」
一昨年の元日に発生した能登半島地震では、石川県を最大震度7の揺れが襲い、被害は富山、新潟、福井各県にも及んだ。2年が過ぎた今も、住まいなどの課題が山積する。被災地の今を3回に分けて報告する。=能登半島地震取材班
「狭いやろ? 2人で寝るも食うもここよ」と話すのは漁師の東野竹夫さん(55)。輪島市鳳至町にある仮設第1団地の自治会長を務める。一昨年秋頃から妻、猫1匹と暮らす。木造仮設住宅の主な間取りは4畳半とキッチン。「まず家をなんとかしてくれってことだ。みんな我慢している」と強い調子で語った。
穴水町の仮設由比ケ丘団地に住む髙文夫さん(69)は、息子の住む金沢市辺りへの引っ越しを考えている。「災害公営住宅に入るなら駅近くに住みたいが、完成はまだ先と聞く。それまで仮設で暮らすことは考えられない」とこぼす。
石川県では多くの人が震災で住まいを追われた。プレハブか木造の建設型仮設住宅に住む人は、昨年12月1日時点で約1万3000人。自治体が民間の賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」も含めると約1万8000人だ。仮設住宅の入居者などを対象にした、県による「住まい再建にかかる意向調査」(一昨年12月~昨年3月に実施)からは被災者の年齢層、収入、住宅についての意向が垣間見える。
世帯主の約8割は60代以上で、主な収入は年金だ。直近1年間の世帯収入額の見込みは、300万円未満が6割、500万円未満では8割近く。持ち家世帯は9割を超えるが、自宅再建の意向を示した人は半分に満たなかった。
地方自治体が国の助成を受けて建てる災害公営住宅への入居を望む人は約25%おり、自力再建を望まない人々の受け皿として期待が大きい。県は4市5町に約3000戸を整備する予定で、昨年3月、前向きな呼称として「復興公営住宅」に切り替えた。
一方で、輪島市の仮設に住む70代の女性は「公営住宅で暮らせるのはまだ先のこと」とため息をつく。同市は975戸を建設し、再来年3月までに入居できるようにする方針だが、どこにいつ入れるかは明らかになっていない。
■復興公営住宅、整備完了は数年先
能登半島地震では用地難や、半島の地理的制約、建設業者の不足、同年の奥能登豪雨による二重被災などが速やかな建設を阻んだ。
住宅整備のスピードは自治体ごとに異なる。輪島市を含む、被害が特に大きかった奥能登4市町のうち、最も早い入居は穴水町で10月、珠洲市と能登町で来年4月の見通し。いずれの市町でも、全て完成するのは数年先という。
自治体による情報発信のあり方に疑問を持つ住民もいる。輪島市の仮設団地に住む50代の男性は「ホームページで公営住宅の完成予定などの情報が発信されるが、スマートフォンなどをうまく扱える人はそう多くない」と話す。
地域防災が専門の青木賢人・金沢大学准教授は、公営住宅建設の進捗の差の背景として、地震被害の程度の違いや、輪島市、珠洲市で奥能登豪雨による被害が大きかった点を挙げる。自治体からの情報提供に関しては「被災者が『仮設後』の生活を見通せることがすごく大切だ。この地域は高齢者が多く、情報へのアクセスが困難な人も多い。仮設団地の集会所などで説明会を開くなどの工夫が重要だ」と語る。
県は、被災住民の実態を継続的に追うため、住まいを巡る意向調査を今年度も実施している。「住まい」は暮らしの足場である。被災者が希望を持って復興の道を歩めるよう一層の支援が欠かせない。