紙など従来の健康保険証が今月いっぱいで使えなくなり、8月からマイナンバーカード(マイナカード)に保険証機能を登録した「マイナ保険証」に完全移行する。移行の経緯や注意すべき点などを解説する。 ■医療の質向上などメリット多い 従来の健康保険証は2024年12月1日で新規発行が停止され、最長25年12月1日までそのまま使える法的な経過措置が取られた。それ以降は、マイナ保険証もしくは加入している健康保険組合などから交付されている「資格確認書」の持参が必要となっている。 その上で、厚生労働省は経過措置が終了した後も窓口での混乱を避けるため、誤って期限切れの従来の健康保険証を持参しても、システム上で資格の確認ができれば、通常の自己負担割合で受診できるとの暫定的な救済措置を今年3月まで実施。さらに今月末まで延長していた。 マイナ保険証は21年10月から本格運用され、医療の質・安全性の向上と医療現場・行政の効率化を同時に実現することを目的に、従来の保険証からの切り替えが進められてきた。 具体的には、医師・薬剤師が過去の服薬・健診データを共有できるため、薬の飲み合わせや重複の防止、質の高い診療につなげられることが期待される。 また、高額な医療費がかかった場合に一定の金額を超えた分が患者に払い戻される「高額療養費制度」の申請についても、払い戻しを受けたり限度額超過分の窓口支払いを免除されたりするには手続きが必要だったが、これが不要になるなどメリットは多い。 ■政府は切り替えの必要性周知を 一方で、マイナ保険証の利用率は十分とは言えない状況だ。従来の保険証が期限切れを迎えた昨年12月前後は利用率が大幅に上昇したものの、レセプト(診療報酬明細書)に占めるマイナ保険証の利用率は、今年4月時点で68・15%にとどまっている【グラフ参照】。政府にはマイナ保険証や資格確認書持参の必要性とともに、マイナ保険証を持っていない人への切り替えの周知が求められる。 マイナカードを持っていながらマイナ保険証の利用登録ができていない場合は、スマートフォンからマイナポータルにログインして登録できるほか、医療機関・薬局にマイナカードを持参しても、その場で登録できる。詳しくは、厚労省の「マイナ保険証クイックガイド」をインターネットで検索し、参照してほしい。 ■(注意点)10割負担になるケースも では、マイナ保険証に完全移行する来月以降、どのような点に注意すべきか。 初診時などにマイナ保険証や資格確認書を持参していなければ、医療機関の窓口で一時的に医療費が10割負担となるケースがあると指摘されている。とりわけ、日頃から医療機関を受診する機会が少なく、従来の保険証を所持したままの人は注意したい。 ■カードの有効期限を確認 既にマイナ保険証を利用している人も注意が要る。 マイナカードにはオンライン上の本人確認に必要な「電子証明書」が搭載されており、その有効期限は年齢にかかわらず発行から5回目の誕生日。これが、マイナ保険証の有効期限にもなる。この期限が切れてから3カ月が経過すると、保険証として使えなくなる。期限が切れる前には通知書が届くことになっており、市区町村の窓口で更新が必要だ。なお、電子証明書の期限はマイナポータルにログインして確認することができる。 16年1月にマイナカードの交付が開始されてから10年が経過しており、カード本体の有効期限もチェックしておきたい。18歳以上の人は発行日から10回目の誕生日までで、発行時に18歳未満の人は5回目の誕生日まで。有効期限はカードの表面に記載されている。