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フードバンクの信頼高める/食品ロス削減と寄付拡大めざし「認証」新設/食中毒、転売、不特定配布…提供企業の懸念払拭へ

公明新聞2026年4月10日付 3面

 さまざまな理由で活用されない余剰食品を企業や家庭から提供してもらい、連携する団体や相談窓口を通して無償で必要な人たちへと提供する「フードバンク」。この活動を国が後押しする新たな制度が4月に開始した。衛生管理などの基準を満たした団体を国が認証して、フードバンクの社会的信頼を高めて企業の懸念を払拭し、食品寄付に対するハードルを下げる狙いだ。

 「……本当に任せても大丈夫ですか?」

 日本で初めて法人化されたフードバンク団体の認定NPO法人「セカンドハーベスト・ジャパン(2HJ)」の芝田雄司CEOは、団体の草創期に食品事業者から投げかけられた言葉を振り返る。

 食品事業者にとって、自社商品をフードバンクへ提供することは一定のリスクを伴う。食中毒などが発生すれば事業者の責任が問われ、自社ブランドの毀損につながりかねないからだ。また、転売や不特定多数への配布が行われると、機会損失の恐れもある。

 企業の懸念と不安は数字に表れる。食品事業者が食べられるにもかかわらず廃棄している食品は年間20万トン以上と推計されるのに対し、全国約300のフードバンクに提供される食品量は総計で約1万6500トンにとどまっている。

■流通・衛生管理など国が審査

 企業からフードバンクへの食品提供を増やすため、消費者庁と農林水産省が連携して4月から始めたのが「フードバンク認証制度」だ。①農水省へ申請し、同省ホームページ(HP)の「フードバンクオープンリスト」に団体情報が掲載される②オープンリストに掲載されている団体からの申請を受け、消費者庁のフードバンク認証事務局が「食品寄附ガイドライン」に準拠した審査基準に沿って認証を行う--の2段階で認証される。あくまでも取得は任意だ。

 認証審査では、食品の流通経路や数量の記録(トレーサビリティー)、衛生管理、食中毒といった事故に備えた保険加入など57項目を厳格にチェック。認証された団体は、ロゴマークの使用が認められ、認証フードバンクとしてリストが公表される。これが、食品の寄付を検討する企業にとっては「安心して託せる団体」の判断材料となる。

■戸惑いの声も

 今回の認証制度に対し、地域の小規模フードバンクからは「トレーサビリティーのためのシステム導入など事務的な負担がかなり増えるので認証を得るのは難しい」と戸惑いの声も上がる。

 これに対して消費者庁食品ロス削減推進室の田中誠室長は「決して小規模団体の活動を脅かすものではない」と強調し、オープンリストは小規模団体でも登録しやすく、企業とのマッチングに役立つと説明。その上で、「広域で活動する取扱量の多いフードバンクが認証を受け、企業から大量の食品提供を受けられれば、小規模団体への分配量も増え、フードパントリー(個人への食料支援)活動に力を注げるのでは」と述べる。

 2HJの芝田CEOは、企業による大口寄付を推進する観点から今回の認証制度を歓迎。今後の課題として、大口寄付に対応できるフードバンクが地域密着型のフードバンクへ食料を分配し、きめ細かに配布する仕組みの強化を挙げ、こう決意を語る。

 「私たちは、安全で栄養のある食事ができていない人が国内に少なくとも200万人いると推計している。長引く物価高騰で数値はさらに悪化しているはずだ。一人でも多くの困っている人たちに支援を届けたい」

■竹谷代表「団体の連携強化を支援」

 公明党は、竹谷とし子代表を先頭に、2019年の食品ロス削減推進法の制定をリードするなど、食品ロスの削減やフードバンクの活動支援を強力に推進してきた。

 党食品ロス削減推進プロジェクトチームなどは23年4月、フードバンク活動の支援強化を政府へ要請し、24年12月には、フードバンク認証の仕組みを小規模団体にも配慮する形で構築するよう提言していた。

 今回の認証制度について竹谷代表は「フードバンクへの社会的信頼が高まり、食品ロスの削減と食品寄付の拡大につながることを期待している。認証を受けた大規模・広域のフードバンクと地域の小規模フードバンクの連携が強化され、困っている人に食品が届いていくよう、支援を充実させていきたい」と述べる。