■元現場監督“安心の街”土台築く 20歳からの11年間は、故郷・徳島県で建設業の現場監督をしていたという。「当時は女性というだけで下に見られがちだったけど、いつしか天職に」。異色の経歴を生かし、現在は市民生活の土台づくり。調布市議、藤川満恵(53)の笑顔はまぶしい。 ◇ 25日の朝。藤川は黄色い旗を握り、通学路に立っていた。毎朝のように児童の安全を見守り、あいさつを交わしながら心の中で願う。“きょうも無事故で幸せな一日を”。保護者の渡瀬明美さん(40)は「うちの子たちも藤川さんが大好き。いつも感謝しています」と話す。 藤川は2023年4月に初当選。議員になってまだ2年余りだが、本人には「10年以上の感覚」。連日の市民相談や議会活動に加え、通学路の見守りや歩道のごみ拾い、地域の“防災担当”としての避難訓練の運営などフル回転の日々を送る。 市民相談には特に心を砕く。受け止めた声はA4サイズの台帳に細かい字で書き込み、解決できたら蛍光ペンで線を引く。1枚に25件分が書ける用紙は、もうすぐ40枚を超える。 すぐに解決できない複雑な悩みを抱えている人も多いが、「心を込めて寄り添い抜く」と決めている。それが、公明党の「大衆とともに」との立党精神を突き詰める中でたどり着いた答えだから。めざす議員像は「隣にいるような存在」だ。 ◇ 議員1期目ながら実績も少なくない。「ライフワーク」と語る防災の分野では、市内の防災備蓄倉庫の収納を改善したほか、避難所への蓄電池付き防犯灯の整備を後押し。命を守るAED(自動体外式除細動器)の普及へ、屋外設置や肌を覆い隠す三角巾の配備を推進した。市役所の高齢者窓口への軟骨伝導イヤホン導入も実現している。 年4回の議会での一般質問は準備に余念がない。困っている当事者の思いや現場の課題を丁寧に取材し、毎回、約9500文字の原稿に凝縮。「どう表現したら伝わるか。市政が動くか」。今月も、試行錯誤の原稿作りは登壇前日の深夜まで続いた。 「4時間睡眠で今も毎日、元気に動けます」とほほ笑む藤川を、夫の真樹さん(51)は「努力家だと思う。健康第一で、街の発展と市民の幸福のために頑張ってほしい」と見守る。 ◇ 自慢の体力と誰とでも語り合える対話力は、現場監督時代の苦闘のたまもの。未知の業界への就職だったが「この場所で輝こう」と毎朝、誰よりも早く現場に出た。仮設トイレの掃除に始まり、万全の環境を整え職人たちを迎えた。朝7時から1時間を勉強に当て、働きながら2級建築士を取得した。 危険と隣り合わせの職場にあって、担当した現場では事故を一度も起こさなかった。秘訣は、準備の徹底。寡黙な職人たちから「あんたの現場は働きやすい。いつでも呼んでや」と言われた時の喜びを今も覚えている。 ◇ 成人して以来、一貫して公明党を応援し続けてきた。花の20代。夜、仕事を切り上げ作業着のまま女性党員らの会合に駆け付け、再び現場に戻る日もしばしば。「目の前の一人を大切にする公明党を守り、未来につなぎたい」との一心だった。その思いで今、さらに前へ進む。笑顔の下にファイトを燃やして。 (文中敬称略。随時掲載) ■取材後記 藤川議員は23歳の時、建設業の働きがいを発表する全国の作文コンクールで最優秀賞に輝いたことがある。題名は「真心込めて“夢を形に”」。全文が載った刊行物を読ませてもらい、熱いものがこみ上げた。仕事と格闘する若者に、ぜひ読んでみてほしいと思った。(久)