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資産運用で財源創出/ジャパンファンドへ技術・人材を結集/衆院予算委で岡本政調会長、中野、山崎氏
■(物価高対策)水道料金下げ、即効性あり
■(政治とカネ)献金規制、自民も検討真摯に
11日の衆院予算委員会で行われた予算の実施状況に関する基本的質疑では、公明党の岡本三成政務調査会長が国の資産を運用して財源を生み出す政府系ファンド(ジャパンファンド)の創設を訴え、高市早苗首相が「明るい気分になった」と協力する姿勢を示した。岡本政調会長は、即効性のある物価高対策として具体策を提案。さらに、公明党の中野洋昌幹事長代行が企業・団体献金の規制強化などについて、山崎正恭氏が高校授業料無償化について、それぞれ質問した。
■年5兆円の可能性、首相「協力したい」
政府系ファンドに関して岡本政調会長は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用開始から24年間で得た累積180兆円の収益を紹介。日本が持つこのノウハウや人材を結集し、合計500兆円を超える国の資産を運用することで「恒久財源として毎年10兆円くらいは見込める。半分でも5兆円くらい使える可能性がある」と力説した。既に各党から賛同があり「超党派での議論を始めたい」と述べたのに対し、高市首相は「情報提供に協力したい」と応じた。
物価高対策について岡本政調会長は、政府が掲げる支援だけでは「不十分だ」と指摘。来年3月までにすぐ実行できてコストパフォーマンスも高い施策として、今夏に東京都が実施した水道基本料金の無償化を挙げ、水道料金への支援を自治体向け重点支援地方交付金のメニューに加えるよう提案した。高市首相は、推奨メニューに入れることを検討する考えを示した。
また、岡本政調会長は奨学金返済支援として、企業による代理返還制度の普及促進とともに、奨学金減税の実現を求めた。高止まりするコメ価格を巡っては、補助金を小売り段階で入れて店頭価格を引き下げる方策を促した。
■資金問題巡り首相「決着済みでない」
自民党派閥の政治資金問題で中野氏は、参院選後も議員の元政策秘書が略式起訴されるなど新たな事実が出ているとして「説明責任を果たし、全容解明していく必要がある」と追及した。高市首相は「この問題が決着済みだとは決して思っていない」と述べ、再発防止に取り組むと表明した。
企業・団体献金のあり方を巡って中野氏は、献金の受け手を限定して規制強化する必要を訴え、「自民党も真摯に議論に参加を」と迫った。
衆院議員の定数削減と選挙制度に関しては「選挙制度は民主主義を支えるインフラ(基盤)そのものであり、各党各会派による幅広い合意が必要だ」と強調。衆院議長の下に設けられた、全会派が参加する衆院選挙制度に関する協議会での議論を尊重していくべきだと主張した。
■(高校無償化)授業料以外の支援 全額国費で
山崎氏は、自民、日本維新の会、公明の3党で合意した高校授業料無償化に関して「私立に進学すると授業料以外にかかるお金が公立より高い」と指摘し、教材費など授業料以外を支援する「高校生等奨学給付金」の重要性に言及した。その上で、3党合意では同給付金を全額国費とする方向性であることから、国費を確実に同給付金に充てる仕組みの構築を提唱した。高市首相は「文部科学相に適切に制度設計させる」と答弁した。
小学校の給食無償化について山崎氏は、地産地消などを通じた食育、消費者教育、子育て支援といった観点も含めて推進するべきだと訴えた。