携帯電話やスマートフォンの普及で街角から姿を消しつつある公衆電話。災害の時、停電や通信規制が実施されても「災害時優先電話」として使える「通信の命綱」である。今、見掛ける公衆電話ボックスは古びて郷愁を誘うものばかり。だが、福島県南相馬市のJR常磐線・原ノ町駅前の電話ボックスは新しく輝きを放つ。一度、駅前の工事で撤去されたが、昨年6月に設置されたものだという。 原ノ町駅は1000年以上息づく国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」の玄関口。常磐線の主要駅で通勤・通学、通院や買い物で利用する人が多い。6年前に駅前広場整備工事が行われ、公衆電話が撤去された。携帯を持たない子どもやお年寄りから「不便」と不安を嘆く声が上がったが、その声はどこにも届かなかった。 「携帯やスマホがなければ駅前から連絡できない。緊急時に困る」。同市原町区在住の山田忠道さん(48)は公明党の志賀稔宗市議に訴えた。志賀市議は2023年9月定例会で、公衆電話の再設置を強く迫るも、市側の答弁は「困難」だった。 背景には、電気通信事業法に基づく公衆電話の設置基準が、1キロ四方に「4台」から「1台」へ変更されたことにある。既に駅前広場から少し離れた場所には3台設置されていたことから、NTT東日本が「廃止」の意向を示していた。 * 志賀市議は同年12月定例会で質問したが、方針は変わらない。それでも諦めない志賀市議は、門馬和夫市長に直談判。公明党の復興加速化会議で、復興に関する要望に併せ、公衆電話の再設置を求めるよう交渉した。ここから事態が動いた。 24年3月、同県浪江町で開かれた党復興加速化会議の席上、門馬市長が公衆電話の再設置を含む要望書を山口那津男代表(当時)に手渡した。後日、山口代表は総務省に対し「制約にとらわれず、利用者に安心感を与えられる真摯な対応を」と働き掛けた。その結果、NTT東日本が方針転換し、駅前広場への公衆電話の復活が実った。 先日、山田さんと志賀市議は現地で懇談。山田さんは「正直、無理かと思っていた。災害の時もつながる電話が復活して安心している」と喜びを語ると、志賀市議は「それは声なき声を山田さんが伝えてくれたから」と応じた。そして「これからも公明党のネットワークの力で市民の期待に応えていく」と誓っていた。