1面から続く 公明党の釧路市議・松橋尚文(59)は、釧路の自然が好きだ。趣味は、父に教わった山菜採りや魚釣り。母もまた、花が好きな人だった。自然への愛があふれ、松橋が自然を守るようになった原点は38年前。道外の高校生が、地元民が捨てたであろうごみを拾う姿を目撃したことだ。「情けなく、申し訳なく思った」。以来、ごみ拾いはライフワークになった。 夏の釧路湿原は、太陽を浴びた緑の濃淡が輝きを増す。美しい景色を楽しむのもつかの間、ズラッと並んだメガソーラー(大規模太陽光発電所)が目に飛び込んだ。松橋が説明する。「釧路湿原国立公園と市街地の間の『市街化調整区域』には、自然公園法の規制が及ばない」 釧路湿原は、豊かな生態系が国際的に認められ、1980年に日本初のラムサール条約湿地に登録。87年には湿地単独で初の国立公園に指定された。4市町村にまたがる区域は計288平方キロメートルという圧巻のスケールを誇る。その周辺で近年、メガソーラー開発が急速に進む。広大な平地と長い日照時間が呼び水になった。 法律で定められた許可を得ずに開発を進める事業者まで現れた。「市街化調整区域には、絶滅危惧種のキタサンショウウオが多く生息している」。そう嘆き、眉をひそめるのは、釧路自然保護協会の神田房行会長。希少な生態系が脅かされている事態を、いち早く察知した松橋は、市議会公明党や公明党道議の田中英樹、そして地域住民と緊密に連携し、行政を動かした。 2025年3月の市議会。松橋は市に対し、自然と調和しないメガソーラーの設置を望まないとする「ノーモア メガソーラー宣言」を提案し、同6月に実現。同9月には、今年1月以降の着工分から市長の許可制とする条例を結実させた。神田会長は「本当に力になってくれている」と厚い信頼を寄せる。 ◇ 松橋は、人が好きだ。天性の温かさとユニークな人柄は、SNSなどネット上の交流でも発揮される。ブログは初当選1カ月後の2007年5月から、ほぼ毎日更新。SNSでは知り合いの投稿に積極的に反応する。 自らの投稿は「冷やし中華が嫌いだ」「私が洗車するとなぜか雨が降る」など、ありのまま、飾らない気持ちを記す。雨が降ると「松橋さんが洗車したのかな?」と、閲覧者が松橋を思い浮かべるようになる。松橋は語る。「SNSは、S極とN極で“磁石”だと思っている。人と人を引き寄せ、実際に会わなくても関係は深められる」 事実、ネットから生まれた縁は多い。阿寒国際ツルセンター「グルス」の館長で写真家の河瀬幸さんは、その一人。タンチョウへの人工給餌発祥の地で、保護や情報発信を担う。きっかけは、河瀬さんがセンターを運営する苦悩をつづったブログを読み、状況を聞きに会いに行ったことだ。今ではすっかり気心の知れた仲。河瀬さんは「“まっちゃん”と呼べるほど距離が近くて。困った時にはすぐ相談できる。行政との橋渡し役に徹し、要望が通るか真剣に模索してくれる」と話す。 SNSを通じての市民相談もある。「老朽化した和式トイレを改善してほしい」。場所は、野球少年らが汗を流す新釧路川緑地。松橋は23年12月の議会で訴え、24年にトイレは洋式へ更新された。相談者の寺山博道さんは、取材時に初めて松橋と対面し「相談して良かった」と打ち明けた。小学校6年生の球児・渡部塁翔くんは「安心して使える」と笑顔を見せた。 ◇ 控えめに言って、松橋は多忙だ。議員活動に加え、地元の町内会長も担う。趣味のギター演奏や手品を生かした慰問活動にも精を出す。妻の直子さんは「もうすぐ還暦なんだから、体に気を付けて」と気をもむ。 ■動けば動くほど地域が良くなる。やりがいがある 松橋の底知れぬバイタリティーには驚かされる。活力の源を聞いた。「皆さんの笑顔が何よりの“ごちそう”だ」 確かに、松橋の周りは笑顔であふれている。なぜだろう。地元の昭和南6丁目で、町内会長としての松橋を間近で見てきた、野中保宏さんはこう評する。「松橋さんは、児童生徒の登下校の見守りや古紙回収、夏祭りなど何でも率先してやる。たとえ一人でも、文句を言っている姿を見たことがない」 松橋を慰問活動に誘った「Communication space HOBO.」の大河内明彦さんは「人のことを喜ばせたいという心根がないと慰問は続かないが、松橋さんは努力を惜しまない。完璧じゃないけど、だからこそ人間味がある。そこが魅力」とリスペクト(尊敬)の気持ちを言葉にする。 ◇ 松橋は、おごらない。公明党地方議員としての使命を自覚しているからだ。「住民の一番近くで働ける分、動けば動くほど地域が良くなる。やりがいがある。人と自然の魅力があふれるこの場所で『大衆とともに』との立党精神を果たし抜く」 文・渡口政樹、写真・江田聖弘、レイアウト・向井慎、デザイン・遠藤勇気 1面の写真はドローンで撮影 https://forms.gle/FxJV7iGCL68UQjvf6