公明新聞電子版 詳細ページ
(衆院選明後8日投票)有権者はどう判断するか、浮き彫りとなった争点
明後8日に投開票を控える衆院選。各党が公約を掲げ、激しい舌戦が繰り広げられています。その中で浮き彫りとなった主要な争点を検証します。
■(消費税減税)首相、「慎重」が「悲願」に一転。「期限付き」の問題点指摘も
自民党が公約に掲げる飲食料品の消費税「2年間ゼロ」を巡り、高市早苗首相の発言が激しく迷走しています。
昨年5月には「0%にすべきだ」と力説していましたが、首相就任後にはレジ改修に1年以上かかることを理由に、慎重姿勢へと変節。ところが、衆院解散を表明した1月19日の会見では再び一転して「自身の悲願」と語り、26日の党首討論では公約の内容を超えて、実施時期に関し「(2026)年度内をめざしたい」と踏み込むなど、主張が一貫していません。討論を主催した日本記者クラブ側からも、首相や党総裁などの立場によって「主語がコロコロ変わり、肝心なところがよく分からない」と疑問が呈される始末です。
この「期限付き減税」には現実的な課題もあります。例えば、一度税率を下げれば「もとの税率に戻す際は『増税』と映る」(1月29日付「朝日」)などと、出口戦略の困難さが指摘されています。1999年に実施された「定率減税」が廃止まで8年を要した歴史もあり、期限がなし崩し的に先送りされれば、赤字国債に頼らざるを得ない事態を招きかねません。責任ある持続可能な制度設計が求められています。
また、飲食料品だけ消費税をゼロにすると約5兆円の減収となります。それを補う財源として首相は、公明党や中道改革連合が掲げる「ジャパン・ファンド(政府系ファンド)」に昨年11月の国会で期待を寄せていましたが、1月の党首討論では「非現実的」と翻意しました。
■(安全保障政策)3文書改定、武器輸出拡大。与党の強硬路線に強い懸念
日本の平和と安全保障を巡る政策が今、戦後最大の転換点を迎えています。
高市政権は、日本の外交・安保政策の基本方針を定めた「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を年内にも改定する方針を示しました。首相は「国の根幹に関わる重要政策の大転換」を掲げ、「決して右傾化などではなく、普通の国になるだけだ」と説明していますが、長年培ってきた平和国家としての歩みを根本から変えかねない強硬な姿勢に、多方面から強い懸念が示されています。
特に重大な論点となっているのが、防衛装備品の海外移転です。これまで日本は、平和主義の理念を堅持するため、輸出可能な装備品を救難、輸送、警戒、監視、掃海の「5類型」に限定してきました。しかし、高市政権はこの制約を撤廃し、防衛装備移転を積極的に推進する構えを鮮明にしています。改定となれば、将来的に殺傷能力のある武器の無制限な輸出にもつながりかねず、他国に脅威を与える「軍事大国」へと変貌する恐れを孕んでいます。
連立を組む日本維新の会も政権の「アクセル役になる」と公言しており、与党の強硬路線は一層際立っています。安保環境が厳しさを増す中で防衛力の整備を求める声がある一方、平和主義という日本の基本方針を揺るがすような抜本的な政策転換には慎重な議論が不可欠です。
抑止力の強化のみならず、対話と協調による平和外交をいかに継続し、国際社会の信頼を保つのか。日本の針路が重大な岐路に立っています。
■(外国人政策)「規制一辺倒」か「共生社会の推進」か。実効性も重要に
衆院選の争点の一つである外国人政策を巡り、共生社会のあり方が問われています。
国内の在留外国人は、昨年6月末時点で約395万人に上り、昨年の訪日客も過去最多を更新しています。少子高齢化が進む日本において、外国人は今や産業や暮らしを支える不可欠な存在です。
他方で、SNSを中心とした排外主義的な誹謗中傷の深刻化に強い危機感も広がっています。法治国家として、外国人による税金や社会保険料の未納、不動産取引の問題に厳格に臨むのは当然ですが、外国人への偏見をあおり、不当に扱う行為は許されません。
今回の衆院選では、外国人に対する規制強化を訴える論調が目立ちます。自民党は未納根絶や土地取得の法的ルール整備を公約に掲げ、日本維新の会は移住に関する司令塔の設置などを強調しています。また、国民民主党は外国人による投機目的の不動産取得への課税を主張し、参政党は不法滞在の取り締まり強化などを掲げています。ただ「規制一辺倒」の姿勢には戸惑いの声があるのも事実です。
一方で、多文化共生を推進する政党もあります。中道改革連合は、日本人と外国人が互いを尊重し、ルールを守りながら、共に「安全・安心」に暮らせる環境を整備すると提唱しています。共に生きる社会の構成員として、日本語教育や生活相談といった外国人への支援体制を整えていくことは重要な論点です。
多様な価値観を認め合う社会をいかに築くのか、理念と実効性が伴う政策を見極めることが欠かせません。
■(解散の是非)「選挙より予算成立」の声。雪国や受験生に大きな影響
この時期に解散・総選挙に打って出た高市首相の判断が疑問視されています。
首相は1月召集の通常国会冒頭で解散するという、1992年以降で初めてとなる異例の強硬手段を取りました。この判断の結果、国民生活に直結する新年度予算案の年度内成立は絶望的な状況となっています。
物価高が暮らしを直撃している今、最も優先すべき予算案の審議を後回しにしたことに対し、毎日新聞の世論調査では「衆院選より予算成立を優先すべきだった」との回答が53%に達しており、首相の説明は国民の納得を得られているとは言えません。約1年3カ月の間で3回目となる国政選挙の頻度や、今回の衆院選実施にかかる約855億円という巨額の公費負担についても批判が噴出しています。
さらに、解散から投開票まで16日間という戦後最短の超短期決戦が、生活現場に大きな混乱をもたらしています。
2月の選挙は受験シーズンと重なり、選挙カーの音などが受験生やその家族に迷惑になることが危惧されています。北日本を中心にした大雪により投票環境も悪化。高齢者の投票が困難になり、短期間での準備を強いられる自治体の負担も深刻です。
政治空白をつくり、暫定予算の編成が必要になるにもかかわらず、政権の信を問おうとする姿勢に「本当に政治家がやらなければならないのは物価高対策だ」(公明党の竹谷とし子代表)との指摘は当然です。首相の掲げる「大義」の是非が、厳しく問われています。