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石破首相、辞任を表明/自民党の分断回避へ決断/関税交渉に「一つの区切り」
石破茂首相(自民党総裁)は7日、首相官邸で記者会見し、退陣する意向を表明した。7月の参院選で敗北した結果、党内で総裁選前倒しを求める声が拡大し、続投は困難と判断した。自民は臨時総裁選を行い、新総裁の選出を急ぐ。臨時国会での首相指名選挙を受けた新首相就任をもって正式に退任する見通し。
首相は7日午後6時から臨時の会見を開き、党総裁を辞すると明言。日米関税交渉で「一つの区切りが付いた」と説明した。「新総裁が選ばれるまで責任を果たし、新総裁にその先を託したい」と語った。
首相は2024年10月に就任。直後に衆院解散・総選挙に踏み切ったものの、自民党派閥を巡る政治資金問題などの影響で与党過半数割れとなった。
その後の国会では、少数与党として厳しい政権運営を強いられたが、一部野党の協力を得ながら25年度予算の成立などにこぎ着けた。ただ、今年7月の参院選でも敗北し、衆参で与党過半数割れという異例の事態となった。
首相は、参院選敗北の責任は「最終的に総裁たる私が負わねばならないとずっと思っていた」と表明した。「比較第一党の責任」を訴え、日米関税交渉合意の完全履行などの課題に向き合うために続投する意向を示していたが、所属議員や地方組織からは首相や党執行部の責任を問う声が噴出していた。
自民は総裁選前倒しの意思確認手続きを行っていた。党則では党所属国会議員295人と47都道府県連の過半数(172)の要求で前倒しが決まる。8日に国会議員の要求を受け付け、地方分と合わせて結果を即日公表する方針だった。
首相は、総裁選前倒しの意思確認手続きについて「党内に決定的な分断を生みかねない」と強調した。小泉進次郎農林水産相は6日に首相と会談した際、意思確認手続きを回避するよう促した。
■政権運営で多くの成果/政治空白招かぬ対応必要/記者団に斉藤代表
公明党の斉藤鉄夫代表は7日夕、東京都新宿区の党本部で記者団に対し、石破茂首相が辞任を表明したことを受け大要、次のような見解を述べた。
一、石破首相から「自民党総裁を辞任する。総裁選挙には出ない。自民党の分断を招かないための苦渋の決断である」という趣旨の電話を頂いた。共に連立政権を運営してきた者として、辞任表明は大変残念だ。(政権発足後)この1年間、いろいろな成果を上げてきた。本当にご苦労さまでしたと申し上げたい。その上で、自民党総裁選になるが、自民党には政治空白を招かないようお願いしたい。
一、少数与党で大変厳しい状況の中、石破首相の誠実な答弁を高く評価している。一つ一つの政治課題で野党の協力を得てきたことは、評価されてしかるべきだ。石破首相の姿勢は、困っている方に手を差し伸べる政治で公明党の考え方と重なっていた。特に困っている方への手厚い給付や減税も行った。政治改革も公明党の提案に自民党も賛成しており、評価している。