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(岸田政権3年 大きな成果=上)賃上げ、デフレ脱却加速/児童手当拡充など党「子育てプラン」実現/自公連立政権合意が具体化

公明新聞2024年8月24日付 1面

 岸田文雄首相(自民党総裁)が9月27日投開票の同党総裁選不出馬を表明し、岸田政権は約3年で幕を閉じることになった。この3年間、公明党の強力な推進によって経済再生、子育て・教育、防災・減災、コロナ対策などが大きく前進。岸田政権発足に当たり、2021年10月1日、自民、公明の与党両党が交わした連立政権合意が具体化し、多くの成果を上げた。

■(経済再生)

 岸田政権の大きな成果の一つは、デフレ脱却への流れをつくり上げたことだ。その原動力となったのが賃上げ。政府は、公明党の提言を踏まえ労務費の価格転嫁や、賃上げに取り組む企業に対して税制・補助金における優遇措置などを実施した。連合がまとめた24年春闘の平均賃上げ率は5・10%と、33年ぶりの高水準を記録した。

 物価の変動を反映した実質賃金は円安や物価高でマイナスが続いていたが、24年6月、2年3カ月ぶりのプラスに。日経平均株価は24年2月、バブル経済期以来の史上最高値を更新し、7月には4万2000円を超えた。少額投資非課税制度(NISA)を拡充し「貯蓄から投資へ」の流れを加速させたことが株高を後押しした。

 物価高対策では、公明党などの提言を踏まえ、23年1月使用分から電気・ガス代の補助をスタート。定額減税も実施し、家計を下支えした。

■(少子化対策)

 子育て・教育について自公連立政権合意には「深刻な少子化の克服と、日本の未来を担う人材を育てるため、子育て・教育に係る財源を確保しつつ各種の施策を拡充する」と明記した。これを踏まえ、政府は、公明党の「子育て応援トータルプラン」を反映した「こども未来戦略・加速化プラン」を策定。自公両党は施策の強化へ子ども・子育て支援法など法改正を実現した。

 特に児童手当は今年10月分から抜本拡充。所得制限を撤廃し、高校生年代まで支給する。出産育児一時金は50万円に引き上げ。妊娠・出産時の計10万円相当給付の制度化や育休給付金の手取り実質10割への引き上げ、「こども誰でも通園制度」創設も決めた。

 教育分野では、大学など高等教育無償化の対象を理工農系学生と多子世帯の中間層に拡大した。

 財源を巡っては支援金創設などで年最大3・6兆円規模の確保に道筋を付けた。これにより日本の子ども・子育て関係予算は経済協力開発機構(OECD)でトップ水準となる見通しだ。

■(防災・減災)継続実施へ中期計画を法定化

 災害に強い国土づくりに向けた施策も大きく前進した。連立政権合意では、総事業費15兆円の5カ年加速化対策を「着実に実施する」と明記。流域ごとに水害対策を講じる流域治水などを推進してきた。

 25年度で終了する加速化対策後も、継続して災害対策を進めるため、防災・減災国土強靱化基本法(議員立法)を改正。中長期的な見通しの下、実施すべき施策や目標などを定めた「国土強靱化実施中期計画」の策定を法定化した。

 23、24年度には、国や自治体の災害対応の基礎となる「防災基本計画」を修正し、被災者を伴走型で支援する「災害ケースマネジメント」や「福祉的な支援」を盛り込んだ。

 いずれも「防災・減災を政治、社会の主流に」と掲げる公明党が強く後押しし、実現した。

■(感染症)次なる危機備え「統括庁」を設置

 岸田政権が最優先課題として取り組んだのが新型コロナ対策だ。次なる感染症危機に備えた体制強化とともに公明党の後押しで大幅に進んだ。

 コロナ対策では、国産初の飲み薬を22年11月に緊急承認。社会の負荷を減らしながら社会経済活動を維持させるため、23年5月には感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行させた。

 さらに、感染症対策の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」を23年9月に設置。今年7月には、重大な感染症が発生した際の対応策をまとめた新型インフルエンザ等対策政府行動計画を改定した。米国の疾病対策センター(CDC)をモデルに、“日本版CDC”として感染症の研究・臨床を担う国立健康危機管理研究機構も、来年4月に創設される。