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参院選の総括 西田幹事長に聞く/衆望に応える中道改革を/合意形成の調整役から“中心軸”に
厳しい結果となった先の参院選を受け、公明党は11日に総括を発表しました。総括では、全国の地方議員などから寄せられた意見を踏まえ、党の現状や課題を分析するとともに、今後の党改革の方向性を打ち出しています。今回、総括をまとめた意義や今後の党改革について、西田実仁幹事長に聞きました。
■(現状認識と課題)厳しい結果直視、強い危機感示す
--総括を取りまとめた意義を教えてください。
西田実仁幹事長 総括の目的は、党再生に向け全党一丸となって前に進むためです。改めて立党の原点に立ち戻り「時代が公明党に求める衆望とは何か」「その衆望に、どう応えていくのか」を問いながら、党が抱える課題を明確にし、党執行部として改革の道筋を示しました。
取りまとめでは、党執行部が8月末まで、全国各地で開催された方面別懇談会や夏季議員研修会など約40の会場に足を運び、地方議員などから直接、声を聴いてきました。ここまでの取り組みは、初めてと言っても差し支えありません。そこでは主に、「心に響く公明党らしい政策をもっと打ち出してほしかった」「政策づくりに参加しやすくしてほしい」といった声があったほか、自民党のいわゆる「不記載議員」への推薦で「党の清廉なイメージを損なった」という指摘も多く寄せられました。重く受け止めています。
--党の現状を「党存亡の危機」と位置付けました。
西田 昨年の衆院選、今年の都議選、参院選と連続して目標を達成できなかったことを直視すれば、党勢回復は容易でないと言わざるを得ません。今回、寄せられた意見を踏まえ、政策づくりや広報宣伝のあり方など一つ一つ見直していくことは大切ですが、党自身が変わらなければならないと思っています。今後も国民の期待に応えていくために、強い危機感を持って、これまでの延長線上にない党改革を進めていく決意です。
■(党再生の方向性)ブランディング、SNS戦略強化
--今後の党改革の方向性として第1の柱に「ブランディング・広報宣伝体制の抜本的再編」を掲げました。
西田 まずは「公明党は何をめざす政党なのか」を分かりやすく伝えるブランディングが必要です。社会保障を中心に日本がめざすべき将来像を示した「2040ビジョン」の最終化や、共生社会の実現など、党のアイデンティティーを鮮明にしたビジョンや取り組みを進めるためにも組織改革に着手します。
また、社会的に影響力を増すSNS上で党の存在感は著しく低いのが現状です。党広報宣伝体制を強化し、デジタル分野に人員や予算を重点的にシフトしていきます。SNS上でつながるだけではなく、アクティブ・サポーター(AS)の拡大との両輪で着実に拡大したいと思います。
■“開かれた党”へサポーター制度
--第2の柱として「サポーター制度(仮称)」や「党学生部」を創設します。
西田 従来の党員資格の有無にかかわらず、幅広い方が党活動に参加できる“開かれた党”の基盤を構築します。
今回の選挙戦では、公明支持者がSNS上で「RICE」というファンネームをつけて党の魅力を発信してくれました。その発展系として、支持者の熱量を制度化するのが「サポーター制度」です。党本部が主導して誰もが気軽に参加できる仕組みを提供し、SNS中心に支持拡大につなげたい。加えて、各地の大学生などを中心とした「党学生部」も創設します。
今後は、デジタル会員証の発行やオンライン会合なども検討していきますが、党組織に関する改革は党規約の改正が必要なので、最終的には党全国大会で議論します。
--第3の柱は「『責任ある中道改革勢力』の軸として役割を果たす」としました。
西田 極端なイデオロギーに偏ったり、ポピュリズムに陥ることなく、生命尊厳、人間主義の政治を貫いてきた、これまでの「中道主義」と異なるものではありません。
公明党はこれまで、与野党の合意形成の要として政治を前に進めてきましたが、残念ながら国民が抱くイメージでは「調整役」にとどまっています。そうではなくて公明党が責任ある政治の中心軸となり、福祉や平和をはじめ、国民の将来不安を払拭する改革を主導していることが分かるように、しかるべき役割を果たしていきたい。ここに党再生の“光”があると私は思っています。
■(次の戦いに向けて)公約実現へ総力、着実にAS拡大
--次の大型選挙に向けて、どう取り組みますか。
西田 まずは参院選で掲げた公約について、目に見える形で成果を出すことが重要です。すでに、党独自の取り組みである政策立案アンケート「We connect」などを基に参院選で掲げた「奨学金減税」や「政府系ファンド」などの実現に取り組んでいるところです。
2027年の統一地方選を見据え、議員の総合的拡大力の強化に向けた「アクションプラン」として①「チーム3000」のネットワーク強化②ASの拡大③演説やSNS発信の質向上に向けた強化プログラムの検討④若年層・現役世代・女性層との懇談会・対話強化--を掲げました。議員自身の日常的な発信も重要です。公明党の持ち味である「小さな声を聴く力」を発揮し、双方向型のコミュニケーションを図り「SNSどぶ板」にも挑戦します。
党の人材育成体制の充実も今後の課題です。若年層や女性層から未来の公明党議員を輩出する仕組みや、スキルアップなどを目的とする人材育成機関の設置をめざして検討を進めていきます。
「大衆とともに」との立党精神の価値は、永遠に不変です。この立党精神を胸に、日本の未来に安心をもたらす「責任ある中道改革勢力」の軸として存在感を発揮し、次の世代に希望のバトンを引き継ぐことができる日本社会を構築していく決意です。