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(公明、2040年に向けたビジョン提示)「創造的福祉社会」築く/支え合い広げ、将来不安解消/少子高齢化の課題対処に総力
■石井幹事長が公表
公明党の石井啓一幹事長(党2040ビジョン検討委員長)は20日午前、国会内で記者会見し、高齢者人口がピークに達して生産年齢人口が激減する2040年過ぎを見据え、社会保障を中心に日本がめざすべき将来像を示した「2040ビジョン」の中間取りまとめを公表した。石井幹事長は、来年から40年までを「正念場の15年」と位置付け「党の『大衆福祉』との原点を再確認するとともに、これまで築き上げてきた全世代型社会保障を基盤として、新たな『創造的福祉社会』の構築に挑む」と力説した。
同ビジョンでは、創造的福祉社会を「人々のつながりと支え合いを幾重にも創り上げ、全ての人の尊厳を守るとともに、それぞれの自己実現に最適な環境を提供できる社会」と定義。その上で、日本社会で進行している問題として▽歯止めのかからない少子化▽単身世帯の急増▽深刻な人手不足▽自治体や地域共同体の存続不安--を挙げ、危機を乗り越えるため五つの改革構想を掲げた。
構想1「教育のための社会・こどもまんなか社会を築く」では、少子化や人口減少の流れを抑制しながら新しい社会を切り開くため、党「子育て応援トータルプラン」の実現とともに、「公教育の再生」「教育のための社会」の実現をめざす。
■単身者への支援充実/働き方改革、健康づくりも
構想2「単身者が生きがいを持って人生を全うできる社会を実現する」を巡っては、単身者の孤独・孤立を防ぎ、青年期から晩年期まで、いずれの時期の単身者も生きがいと安心感を持てる社会を築くとした。
構想3「若者、高齢者、女性、障がい者 全ての人が輝ける社会を確立する」では、人口が減少していく中で全ての人が自分らしく能力を最大に発揮するためのカギが働き方改革だとして、同一労働同一賃金など、雇用形態による格差のない柔軟な働き方をめざす。
構想4「全国どこでも命と健康が守られる社会をつくる」では、病気を予防し、生活の質を向上させる運動、リハビリの推進や、栄養、睡眠を改善する国民運動を展開。また、全国各地の医療ニーズを把握した上で、総合的な医療プランを国に策定させる。
構想5「地域のつながり・支え合いで人口減少を克服する社会を構築する」では、高齢者が住み慣れた地域で暮らせるよう、地域包括ケアシステムの現状を総点検し、市町村の垣根を越えた専門人材の相互融通などを都道府県主導で実施する「命を守る広域連携」(仮称)の創出を掲げた。
併せて、近隣諸国との外国人材獲得競争が今後激化していくと指摘。日本が「選ばれる国」となるよう、受け入れ環境の向上に取り組むことなどを盛り込んだ。
同ビジョンについて石井幹事長は「中長期的な計画であり、党としての社会保障改革のベース(基礎)になる」と強調。その上で、少子化抑制は「何よりも急がれる」として、対策に取り組む考えを示した。
■改革構想
① 教育のための社会・こどもまんなか社会を築く ② 単身者が生きがいを持って人生を全うできる社会を実現する ③ 若者、高齢者、女性、障がい者 全ての人が輝ける社会を確立する ④ 全国どこでも命と健康が守られる社会をつくる ⑤ 地域のつながり・支え合いで人口減少を克服する社会を構築する