沖縄本島から西へ約500キロ、台湾までは約110キロの沖合に浮かぶ沖縄県の与那国島(与那国町)は日本最西端に位置する。中道改革連合の金城泰邦衆院議員、公明党沖縄県本部の上原章代表(県議)らがこのほど、国境離島で暮らす島民が直面する課題を探るため、現地を歩いた。
■公明・中道が課題を探る
「人口約1600人の生活を守り、いかに持続するかが重要」
役場内で金城、上原両氏、吉里明・那覇市議、石垣達也・石垣市議と向き合う与那国町の上地常夫町長は力を込めて語り、生活基盤の一丁目一番地が「医療」だと強調する。
島で唯一の医療機関が町立与那国診療所である。診療所は公益社団法人・地域医療振興協会(東京・千代田区)が2011年から指定管理者として運営し、医師を派遣してきた。しかし、26年3月末で同法人との契約を終え、常勤の医師は今秋で退職する。
一時、「無医島」の懸念が生じたものの、沖縄本島の医療法人が運営を引き継ぐことが決まった。併せて10月からは琉球大学と協力する「地域枠制度」を活用し、新たな医師が派遣される見通しも立った。
こうした矢先、県が実施する専門医の巡回診療を削減する方針が突如、打ち出された。県は医療サービスの拡充を目的に、眼科や皮膚科などの医師を県内離島へ巡回させている。だが、26年度は診療回数を従来の年12回から年7回へ減らすと決定。町は、削減された5回分を賄う補正予算約1300万円を自己財源で捻出し、4月末の臨時議会での可決を余儀なくされた。
町担当課長は、24年に特別養護老人ホームが閉鎖して以降、県に介護環境の拡充を要請しているが、消極的な姿勢を示す対応を疑問視。上地町長は「県も同じ思いで一緒に考えてほしい」と訴える。
■インフラ整備は生活向上に直結
島の玄関口である与那国空港は、県からの委託を受け、町が管理業務を担う。だが、維持管理の財源である県の交付金が減額され続け、町財政を圧迫。管理事務所からは空港ターミナルの老朽化などに対する不安の声が上がる。一方、基幹道路の県道216号を車で走ると、生い茂る雑草が歩道などを覆うのが目につく。土木建築の関係者からは予算の関係で県道整備が中断している実情が指摘された。
■魅力高まる「自然の宝庫」、観光客増加は年5万人へ
明るい兆しもある。コロナ禍を経て、島内への入域観光客数は伸びている。25年は過去最高の4万5000人を上回った。ダイビングなどを目的に訪れた国内外の観光客も目立った。
サンゴの隆起によってできた標高85メートルの崖「ティンダバナ」(国指定名勝)や、日本在来馬の一種で放牧されている与那国馬など「自然の宝庫」ともいわれる豊かな資源を生かし、町は30年までに5万人の年間入域観光客数をめざす。空港や港湾、道路などインフラの充実は観光振興と島民生活の向上に直結している。
■(記者の目)島民の暮らしを最優先に
2016年に陸上自衛隊の与那国駐屯地が配備されて10年が経過した。当時は産業振興やにぎわい創出への期待もあったという。しかし、食料品の価格は沖縄本島の3割高いと指摘される不利性に加えて、現在の長期化する物価高で「悩みばかり増えていく」「住み慣れた島を離れたくない」などと不安を口にする島民の姿が印象に残った。
複雑な感情が入り交じり、山積する課題を目の当たりにした。その実態は、県が離島振興計画で掲げる「持続可能な島づくり」とは程遠い。残念ながら現県政の対応は「離島軽視」と断ぜざるを得ない。
「島民たちの生活あっての国防であるはずだ」(上地町長)との言葉は重い。政府と県は今一度、国境離島での島民の暮らしぶりと向き合うべきだ。島民生活を最優先にした施策の実現を公明党が主導してほしい。(沖縄支局・篠倉淳徳)





