歯の健康がミライを変える!--。きょう6月4日は、「6(む)4(し)」にちなんで「虫歯予防デー」です。また、きょうから10日までは「歯と口の健康週間」。そこで、「予防歯科」の重要性やセルフケアのポイントなどについて、長谷川歯科医院副院長の長谷川直美さん(歯科医師)と、公明党青年委員会の原田大二郎青年局次長(参院議員、医師)のスペシャル対談を紹介します。 ■歯周病は全身の病気に直結(長谷川) ■若い時期からの「予防」が重要(原田) 原田大二郎青年局次長 若い世代の方は仕事や育児に忙しく、歯科検診を後回しにしがちですよね。私は議員になる前、呼吸器内科医として主に高齢者の肺炎や肺がん治療などに携わってきましたが、「お口のケアこそが未来の自分を守る最大の防衛策」だと痛感しました。 長谷川直美さん がん治療の現場でも、歯科医との連携はとても重要だといわれていますね。 原田 そうなんです。抗がん剤の副作用による口内炎の管理や、入院患者の義歯の調整など、歯科の先生方には本当にお世話になりました。予防の大切さを身に染みて学びましたね。 長谷川 私は東京都青梅市で、父が院長を務める歯科医院で診療していますが、現役世代の患者さんからは、「痛みがなければ足が遠のく」という本音をよく伺います。ですが、厚生労働省のデータでも示されている通り、25~34歳では、約3人に1人(32.7%)が歯周病です。それに、お口のトラブルは、全身の病気に直結しているんですよ。 原田 本当にその通りです。内科医時代、激しい肺炎で入院される高齢の患者さんを多く診ましたが、口のケアが行き届いていないケースが目立ちました。高齢者の死因に多い肺炎の多くは、口の細菌が唾液と一緒に肺に入る「誤嚥性肺炎」なんです。 長谷川 歯周病の菌は、血管を通じて糖尿病の悪化や動脈硬化、妊婦さんの早産・低体重児出産のリスクを高めることもエビデンスで分かっています。歯周病は口の「感染症」です。一度進行して歯周組織が破壊されると、歯ブラシだけでは元の健康な状態に戻らず、その後も一生のお付き合いになります。だからこそ、歯科医院でのプロのケアと、ご自身でのセルフケアの両輪が欠かせません。 原田 若い時期からの「予防歯科」の習慣が、健康寿命や、生涯にかかる医療費の負担に大きく関係するということですね。 ■効率的な磨き方が大切(長谷川) ■歯科矯正への関心も高い(原田) 原田 一方で、私も医師時代、夜勤などで生活が不規則な時期がありました。歯磨きをサッと適当に済ませて、寝たくなる気持ちはよく分かります(笑)。 長谷川 皆さん同じですよ(笑)。だからこそ、効率的な磨き方が大切なんです。実は「虫歯予防」と「歯周病予防」では、歯ブラシの当て方が違います【図参照】。10~20代に多い虫歯の予防には、歯の表面にブラシを「直角(90度)」に当てて小刻みに動かすのが基本です。 原田 30代以降にリスクが高まる歯周病の予防は? 長谷川 歯と歯茎の境目の歯周ポケットを狙う磨き方が効果的です。歯ブラシを「45度」に傾けて当て、軽い力で細かく振動させます。力を入れ過ぎると歯茎が下がり、知覚過敏や根元が削られることで虫歯の原因になります。目安は、毛先が曲がらないくらいの優しい力です。歯ブラシはヘッドが前歯2本分くらいの大きさで、普通の硬さのストレートタイプが扱いやすくてオススメですよ。 原田 歯ブラシだけのケアで十分なのでしょうか? 長谷川 いいえ。歯ブラシだけだと、歯垢の除去率は約6割といわれています。しかし、フロスや歯間ブラシを合わせると、8~9割まで除去率が上がります。補助器具を併用した方がいいと思います。 原田 ちなみに歯ブラシはどれくらいで交換すべきですか? 長谷川 「1カ月に1回」が目安です。毛先が広がってきたら、すでに清掃力が落ちているサインです。それと、歯磨き粉はフッ素入りを選ぶのがベストです。低濃度のフッ素を毎日継続して使うことで、高い虫歯予防効果が得られます。 原田 フッ素の効果を高めるコツはありますか。 長谷川 磨いた後のうがいは、「少量の水で1回だけ」で、軽く口をすすぐ程度にとどめることが推奨されています。何度もゆすぐと、せっかくのフッ素成分がすべて流れ出てしまうんです。 原田 なるほど。それはすぐに実践できますね。若いパパ・ママから「子どもの仕上げ磨きが大変」という声もよく聞きます。わが家でも苦労しました(笑)。 長谷川 2~3歳頃までは、無理に押さえつけると痛がって歯磨きが嫌いになってしまいます。親が楽しそうに磨く姿を見せたり、歌を歌ったりしながら、まずは歯ブラシを口に入れることに慣らしていくのがコツです。 原田 なるほど。妊娠中や産後のトラブルも多いと聞きますが。 長谷川 「赤ちゃんにカルシウムを取られる」というのは俗説なんです。実際は、妊娠中のホルモンバランスの変化で唾液が減って口がネバついたり、つわりで丁寧に磨けなくなったりすることが原因です。体調が良い時間にリラックスしてケアしてください。 原田 最近は、マウスピースなどの歯科矯正への関心も高まっていますね。 長谷川 見た目だけでなく、かみ合わせという機能改善のためには、とても大切です。歯並びが悪いと虫歯•歯周病のリスクや顎関節症の危険性が高まります。ただ、最近はサブスク感覚の手軽さをうたう簡易的な矯正でのトラブルが「日本矯正歯科学会」でも問題視されています。専門的な知識を持つ医師にしっかり診断してもらうことが大切です。 ■地方では人手不足も深刻(長谷川) ■ICT・DX化を強力に推進(原田) 原田 現場で働く方から、歯科医療の実態をどう見ていますか。 長谷川 歯科治療・予防を保険診療の中で行うための仕組み(施設基準の届け出や算定要件など)が非常に複雑化しており、私たちのような地域の小さな歯科医院にとっては事務負担や申請の手間が重くのしかかっています。 原田 手続きの煩雑さや施設基準のハードルの高さが現場の負担になっているというお声は、私も各地で伺っています。 長谷川 そうなんです。また検査に必要な高度なデジタル機材の導入コストも高額ですし、何より歯科衛生士などの人手不足が深刻です。資本力のある歯科医院ばかりが発展していく一方で、地域に根差した郊外の小さな所が、人手不足やコストに耐えかねて疲弊してしまうのではないかという危機感があります。地元の歯科医院は、学校健診を担当し、地域の高齢者の方々の訪問診療を支える、なくてはならない大切な「医療インフラ」です。 原田 おっしゃる通りです。大切な医療インフラを守るため、私自身も全力で働きます。一方で、未来への可能性を秘めた明るい話として、テクノロジーを上手に活用した取り組みを提示したいと思います。例えば、歯科領域のICT(情報通信技術)・DX(デジタルトランスフォーメーション)化を強力に推し進め、マイナポータルなどを通じて過去の学校健診や職域健診のデータをスマートフォンで一元管理・共有できる仕組みを作れば、患者さんの利便性は飛躍的に向上します。それと同時に、現場の歯科医が複雑な書類作成や施設基準の縛りに忙殺されることなく、患者さんの予防と治療に集中できるようになります。 長谷川 重要な視点だと思います。公明党には、その先頭を切ってもらいたいと期待しています! 原田 ありがとうございます。若い世代の皆さんが、将来、自分の歯でおいしいものを食べ、自信に満ちた笑顔で仕事や育児に励める社会をつくりたい。私自身も、その確かな未来を守るために、現場の声を力に変えて国会で全力で闘い抜く決意です! はせがわ・なおみ 日本歯科大学卒。日本歯科大学附属病院の臨床研修医などを経て、2009年から、実父が院長を務める東京都青梅市の「長谷川歯科医院」に勤務。日本歯周病学会に所属。