公明新聞電子版 詳細ページ
(「2040ビジョン」で石井幹事長に聞く)人の尊厳守る福祉社会に/将来不安解消へ五つの改革
2040年を見据えた社会保障を中心とするわが国の将来像「公明党2040ビジョン中間取りまとめ~『創造的福祉社会』の構築へ~」(20日発表)の策定の背景や内容について、石井啓一幹事長(2040ビジョン検討委員長)に聞きました。
--策定の背景は。
石井啓一幹事長 少子高齢化と人口減少で、わが国は2040年過ぎに高齢者人口がピークに達し、生産年齢人口(15~64歳)が急減。▽歯止めのかからない少子化▽単身世帯の急増▽深刻な人手不足▽自治体や地域共同体の存続不安--という構造的な危機を抱え、国の存立が揺るがされかねない深刻な局面に入っています。
結党以来「大衆福祉」の旗を掲げ、社会保障や子育て支援、教育の改革をリードしてきた公明党が、今こそ国民の将来不安や「生きづらさ」に真正面から向き合い、希望を届ける将来像を示すべきだと考えました。
具体的には、22年12月に立ち上げたビジョン検討委員会で議論を重ねてきました。関係省庁や20人を超える有識者らと活発に意見交換したほか、今年2月から3月にかけては自治体向けのアンケートを実施して地域の実態を調査するなど、党を挙げた取り組みを進めてきました。
--ビジョンの大きな方向性は。
石井 これまで築き上げてきた全世代型社会保障を基盤として、新たな「創造的福祉社会」の構築をめざします。
創造的福祉社会とは、少子高齢化・人口減少時代の諸課題に対処する制度改革だけではなく、「人々のつながりと支え合いを幾重にも創り上げ、全ての人の尊厳を守るとともに、それぞれの自己実現に最適な環境を提供できる社会」と定義。来年から40年までを「正念場の15年」と位置付け、新しい社会の構築に挑みます。
個別具体的な制度の構築では、いわゆる「ベーシック・サービス」の考え方を踏まえます。医療や介護、福祉、教育など人間が生きていく上で不可欠な公的サービスに関しては、所得や資産の多い・少ないにかかわらず、誰もが平等かつ必要な時にアクセスできる権利の保障をめざすということです。所得制限などの受給条件を可能な限りなくし、その負担を能力に応じて社会全体で分かち合いたいと考えています。
■少子化抑制、単身者支援に全力
--具体的な内容は。
石井 五つの改革構想を掲げました【表参照】。中でも優先課題は、少子化の抑制であり、構想1は「教育のための社会・こどもまんなか社会を築く」です。22年11月に策定した党「子育て応援トータルプラン」について30年までに実現し、生まれてから社会に巣立つまでの子育て費用の無償化をめざします。また、「公教育の再生」「教育のための社会」の実現に全力で取り組みます。
構想2は「単身者が生きがいを持って人生を全うできる社会を実現する」。日本は既に単身世帯を主軸とする社会に変化しており、「夫婦と子ども」といった従来の家族観を前提とした制度を再点検すべきです。単身者の孤独・孤立を防ぎ、安心感が持てる環境へ、経済的な安定や住まいの確保などを進めます。
構想3は、働き方改革などを盛り込んだ「若者、高齢者、女性、障がい者 全ての人が輝ける社会を確立する」とし、構想4は「全国どこでも命と健康が守られる社会をつくる」です。構想5では、外国人との共生も視野に「地域のつながり・支え合いで人口減少を克服する社会を構築する」としました。人口縮減社会で<生命・生活・生存>を守り抜く取り組みです。
同ビジョンを社会保障改革のベース(基礎)に置き、公明党らしく生活者目線に立った改革を着実に進めていく決意です。