公明新聞電子版 詳細ページ
いつも街頭に立つ公明議員に思い切って声掛けてみたら…/ウィッグ助成、脱毛症の子を対象に/大阪・和泉市
脱毛症状による外見の変化に悩む子どもの精神的負担を和らげようと、大阪府和泉市は今月から、医療用ウィッグ(かつら)の購入費の助成事業を開始した。一人の女の子の声が出発点。それをカタチにするため、公明議員が奮闘した。
■女の子の相談にすぐ対応/実現喜ぶ「笑顔忘れられない」
「私は議員です! ご相談ご要望!受付中!」と印字されたのぼりが、道行く人の目をひく。そのそばには、汗だくになりながら元気にあいさつする公明党の垰田英伸・和泉市議の姿。初当選からの5年間、ほぼ毎日、市内で街頭活動を実施し、時には朝から夕方まで10時間、立ち続けることもある。演説は行わず、あいさつに徹し、今では即席の市民相談会になることが日常の光景に。
■勇気を振り絞り
昨年8月、南海電鉄・和泉中央駅近くの街頭に立つ垰田市議の元に、一人の女の子が母親と共に近づき、声を掛けた。佐藤花音さん(仮名、当時中学1年生)は、かぶっていた帽子を取り、こう打ち明けた。「原因不明の全身脱毛症だけど、市からウィッグの助成が受けられない……」
花音さんによると、周りに同じ境遇の友人もおらず、誰に相談すればいいのか思い悩む日々が続いていた。そんな中、街角に立つ垰田市議と傍らにあるのぼりを何度も見かけるうち、「勇気を出して相談しよう」と意を決したという。
「多感な時期の女の子が人通りの多い街中で帽子を取り、悩みを打ち明けてくれた。どれだけ勇気が必要なことか」。垰田市議は熱くなる目頭を押さえ、花音さんの力になろうと決意した。
■議会で即提案
和泉市は2021年度から医療用ウィッグの購入費助成を実施しているが、目的ががん患者のアピアランス(外見)支援に限られ、脱毛症の人は対象外だった。
花音さんから相談を受けた垰田市議は、すぐさま行動。昨年10月の市議会定例会で、大分市での先行事例などを踏まえ、がん患者以外の脱毛症状に悩む人たちにも医療用ウィッグの購入費を助成するよう提案し、実現に至った。
今回の新規事業は、市内在住の小学1年生から18歳までで、市から従来の助成を受けていない人を対象にした。今年4月以降に購入・リースしたものに限り、費用の2分の1(上限5万円)を助成する。
子どもの成長に伴ってサイズが合わなくなることも考慮し、2年ごとに1回まで助成。希望者は申請書と診断書、領収書を市保健センターに提出すれば利用できる。市は今後、市内の病院にチラシを配布するなど、周知に努めていくとしている。
事業の実施が決まると、垰田市議は花音さんに手紙で報告。すると後日、街頭に立つ垰田市議の元へ父親と共に花音さんが駆け寄り、喜びの声を届けてくれた。
この時のことを振り返り、また目頭が熱くなる垰田市議。「花音さんの笑顔が忘れられない。これからも一人の声を出発点に政策実現にまい進していきたい」