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(土曜特集)“悪夢”の旧民主党政権、再来許すな
今回の衆院選で、敵失に乗じる立憲民主党。だが、日本を沈没寸前に陥れ、後に“悪夢”とまで呼ばれた旧民主党政権(2009年9月~12年12月)の再来を許してはならない。有権者が忘れてはならない同政権の主な“大罪”を振り返ってみた。(肩書きなどは当時)
■<大罪①>口先だけの公約、総崩れ
旧民主党政権の代名詞とも言えるのが、衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)の破綻だ。「高速道路の無料化」など聞こえの良い政策を並べ立てたが、財源確保のめどが全く立たず総崩れ。深刻な政治不信を招いた。
目玉政策だった「子ども手当」は“見切り発車”したものの、満額支給できずに廃止。その後、児童手当が復活し、政権奪還した自公政権の下で大幅な拡充が進んでいる。
「コンクリートから人へ」をうたい、現場の声を無視して掲げた「八ツ場ダム」の建設中止は、反発を受け方針転換。命を守るダムの完成が遅れた。これら公共事業の削減で建設業は苦境に。今日の人手不足問題にも尾を引いている。
■<大罪②>外交・安保で国益損ねる
国家の基本政策である外交・安全保障政策で迷走を重ねた結果、国益を損ない、国際社会からの信用も失った。
例えば、沖縄の米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設中止との公約。衆院選前に鳩山由紀夫代表が「最低でも県外」と発言。米国にも「トラスト ミー(私を信じて)」と強弁した挙げ句、何の結果も出せない無策ぶりに沖縄県民も米国も失望した。
東シナ海の尖閣諸島付近で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件に対する場当たり的な対処で、日中関係が悪化。ロシア大統領の北方領土訪問や、韓国大統領の竹島上陸への対応においても後手に回り、日ロ、日韓関係を壊した。
■<大罪③>相次ぐ「政治とカネ」放置
「政治とカネ」を巡る問題も噴出した。主なものでも、鳩山首相に12億円を超す使途不明金、小沢一郎・民主党幹事長に20億円超の虚偽記載が発覚。菅直人首相の資金管理団体は、北朝鮮と関係の深い団体への献金が明るみに。野田佳彦首相も、外国人からの政治献金や、巨額脱税事件で有罪判決を受けた暴力団関係者からの資金提供問題が浮上し、返金に追い込まれた。閣僚・政務三役からも不祥事が相次いだが、問題を放置。政治不信を増大させた。
一方、公明党は再発防止策として、いわゆる“連座制”を導入する政治資金規正法改正案を国会に提出。再三、審議を迫ったが、歴代3首相は消極的な対応を続け、廃案になった。
■<大罪④>遅い、鈍い震災への対応
11年3月に発生した東日本大震災への対応は「遅い、鈍い、心がない」との批判を招き、復旧・復興を大きく遅らせることになった。
がれき撤去など緊急の経費を盛り込んだ補正予算成立に約50日も要したことで、各自治体の復興計画策定が遅れ、多額の未執行予算も生じた。
東京電力福島第1原発事故では、菅首相の無用な現地視察が初動対応を滞らせ“もはや人災”とまで批判された。
■<大罪⑤>“誤審”相次ぐ事業仕分け
政府予算のムダを洗い出すとして実施した政権肝いりの「事業仕分け」は、単なるパフォーマンスに終始した。
中でも、世界一をめざしていた次世代コンピューターの開発を巡り担当閣僚が「2位じゃだめなんですか」と発言し、国民の失笑を買った。民間仕分け人の選定基準の不明瞭さや、「はじめに結論ありき」とばかりに廃止や削減を次々と決めていく乱暴な手法に批判が集まった。
■<大罪⑥>経済無策で政治不況招く
当時、長引くデフレ(物価下落が続く状態)と円高の克服が急務だったが、政府は「デフレ状況」を宣言するだけで効果的な政策を打ち出せず、経済はさらに悪化。野田氏が首相だった12年11月には、経済の“先行指標”と言われる日経平均株価は8000円台にまで落ち込んだ。完全失業率4・2%、春闘賃上げ率1・7%など、当時の経済指標の数々は、“政治不況”の深刻さを物語った。
■<大罪⑦>方針コロコロ、党内バラバラ
稚拙な政権運営で重要政策の方針は二転三転し、国民不在の「決められない政治」「党内のバラバラ体質」で失政を重ね続けた。
その典型例が消費税を巡る対応。「増税は必要ない」と政権に就いたものの、菅首相が突如、消費増税を表明し混乱を招いた。社会保障の充実と消費税率引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革」を巡っては、民主党議員約50人が離党、党が分裂した。
■顔ぶれ、体質、立憲に継承
旧民主党は立憲民主党に衣替えしたが、野田代表ら当時の政権幹部が名を連ね、党の本質とともに多くを引き継いでいるようだ。
例えば、今回の衆院選で掲げる「給付付き税額控除」を党首討論会で問われると、制度設計はまだ詰まっていないとして「対象や規模が曖昧なことを認めた」(13日付「読売」)。看板政策がやっぱり口先だけであることを印象付けている。
政治改革では、政党から議員が受け取る「政策活動費」の廃止を唱える一方、自党の使途公開には後ろ向き。先の通常国会では政治資金パーティーなどの禁止方針に対し古参幹部が「何をばかなことを」と公然と批判するなど、党内のバラバラ体質は相変わらずである。