消防防災ヘリコプターやドクターヘリなどの操縦士の高齢化が深刻になっている事態を受け、国土交通省は先月、独立行政法人「航空大学校」(宮崎市)に操縦士の養成コースを2028年度末までに新設する方針を取りまとめた。高齢化により、将来的に一部ヘリの運休が懸念されることに対応する。公明党が強く要請していた。 ドクターヘリの機長(操縦士)になるには、1000時間以上の飛行経験が必要とされる。養成に時間を要する一方、操縦士の50歳以上の割合は消防防災ヘリで65%、ドクターヘリで71%(25年4月時点)に上っている。ドクターヘリでは30年以降、操縦士が全国で年間10人以上不足する可能性があるという。 また自治体などから操縦の委託を受ける民間の運航事業者は、これまで農薬散布などを通じて、報酬を得ながら飛行時間を積み重ねていたが、近年はこれらの作業がドローンに代替され、若手が飛行経験を積む機会が減少。養成のための飛行には1時間当たり約30万円かかるとされ、事業者の負担が重いという課題があった。 新設される養成コースでは海保、警察、小型機の事業者などの運航者で、既にヘリのライセンスを持つ若手操縦士を対象に受け入れる方針。実機と高性能シミュレーターを組み合わせ、効率的に高い技量を身に付ける。 また同省は、飛行経歴要件にシミュレーター経験を含める方向で基準を見直す。なり手確保へ向けては、無利子で貸与する独自の奨学金制度を創設する方針だ。 ■地域医療に不可欠、公明が強力に推進 公明党はこれまで現地視察で課題を探るとともに、国会質疑を通じて、“地域医療に不可欠な命のインフラ”であるドクターヘリの持続的な運航体制の構築を主張。谷合正明参院会長は26年3月の参院予算委員会で「国が責任を持って直接パイロットを養成する体制へ抜本的に転換すべきだ」と訴え、航空大学校に専門課程を創設することなどを提案した。 これに先立ち25年10月には、党ドクターヘリ・ドクターカー配備推進プロジェクトチーム(PT、座長=宮崎勝参院議員)が政府に対し、操縦士や整備士などの人員を安定的に確保できるよう十分な予算措置を講じることなどを要望していた。