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暮らしを力強くサポート/2024年度補正予算成立/公明党の主張が反映
政府の総合経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算が、17日の参院本会議で自民、公明の与党両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数により可決、成立しました。物価高対策や賃上げ促進、能登半島地震の復旧・復興支援を含む防災・減災などが柱で、公明党の主張が随所に反映されています。主な施策について紹介します。
■(物価高対策)交付金増額、地方独自の支援策後押し/電気・ガス、燃油代補助
物価高に苦しむ生活者や事業者の支援策として、自治体が独自に使える「重点支援地方交付金」を1兆908億円、追加措置しました。同交付金は、学校給食費の負担軽減やプレミアム付き商品券といった消費を下支えする取り組みのほか、LPガス(プロパンガス)や灯油代の支援など自治体の実情に応じた幅広い内容に活用されています。
また、暖房の使用量が多くなる冬の時期に合わせて、電気・都市ガス代の負担軽減策を来年1月から3月の使用分まで行います。
家庭向けに1月、2月の電気料金は1キロワット時当たり2・5円、ガスは1立方メートル当たり10円を補助。2人以上世帯の全国平均で電気・ガス代合わせて、月1300円程度の値引きとなる見込みで、3月は規模を縮小して実施されます。
ガソリンなどの燃油価格を抑制する措置についても、補助幅を段階的に縮小しながら継続します。
物価高の影響を強く受けている低所得世帯については、住民税非課税世帯に1世帯当たり3万円を給付。このうち子育て世帯には子ども1人当たり2万円を加算します。
■(賃上げ)中小企業の“稼ぐ力”強化/生産性向上や省力化へ補助金
物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現するには、雇用の約7割を支える中小企業の賃上げ環境を整備することが欠かせません。
補正予算には、公明党の提言が反映され、中小企業・小規模事業者が賃上げ原資を確保し、“稼ぐ力”を強化するための支援などに総額5600億円が計上されました。
具体的には、ものづくり補助金やIT補助金など、生産性向上を支援する各種補助金を拡充するほか、新事業への進出・構造転換への投資を重点的に支える「新事業進出補助金」を創設します。
また、売上高100億円をめざす中小企業の設備投資や海外への販路拡大などを支援する「中小企業成長加速化補助金」も新設。人手不足に対応するため、ロボットの導入など省力化投資支援を拡充します。さらに、価格転嫁対策や経営相談体制の強化なども一体的に進めます。
医療・介護・障がい福祉分野で働く人の賃上げや職場環境の改善に向けては2304億円が充てられ、生産性向上に資する設備導入を進める医療機関などに給付金を支給します。
■(防災・減災)能登地震、復旧・復興を加速/避難所の環境改善さらに
能登地域などの復旧・復興に向けて6677億円を確保し、道路などのインフラ再建や、なりわい支援、災害廃棄物処理を加速します。
さらに防災・減災、国土強靱化「5か年加速化対策」関連の公共事業費として1兆4063億円を充当。資材価格の高騰に対応するとともに、水道管の耐震化などを促します。
公明党が先の衆院選の重点政策にも掲げて推進する避難所の環境改善では、補正予算で新設される「新しい地方経済・生活環境創生交付金」の一部を活用し、段ボールベッドや簡易トイレなどの備蓄に取り組む自治体を支援します。
災害時に避難所となる学校体育館の空調(エアコン)整備促進のため、779億円を確保し、自治体向けの特例交付金を創設します。関連工事を含めた費用の最大2分の1を補助し設置ペースを2倍に加速します。
■所得増加に必要な施策/大阪経済大学 小巻泰之教授
長引く物価高騰の影響で国内の消費者の購買力が落ちている中、暮らしや企業活動を支えるために必要な施策が盛り込まれている印象です。
特に電気・ガス、燃油代の軽減などの物価高対策や、中小企業の賃上げ原資の確保に向けた支援策は、物価上昇を上回る所得増加に通じ、効果を上げるまで継続することが肝心です。
一方、物価高対策では、関連業界への補助が良いのか、給付などの消費者への所得補償が良いのかといった議論を深めることも大切です。効果を検証しつつ、来年度予算以降の施策に反映させる必要があります。
今回の補正予算成立を巡っては、与党が野党の意見の一部を組み込み、予算が28年ぶりに修正されました。ただ、財源の議論は十分ではなく、その点にも目配りし、公明党が各党の意見を調整する役割を果たしていくことを期待しています。