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中小企業の“稼ぐ力”伸ばす/省力化など補助金拡充/最低賃金引き上げに対応
■専門家が訪問、伴走型で支援/公明が強力に推進
2025年度の最低賃金の引き上げ幅が過去最大となったことを受け、経済産業省は中小・小規模事業者への支援を強化する。「ものづくり補助金」など支援制度の要件緩和に加え、来年4月から全国47都道府県に「生産性向上支援センター(仮称)」を設置し、省力化や業務改善を支援することで企業の“稼ぐ力”の向上につなげる狙い。公明党は物価高を上回る賃上げに向けた環境整備として、生産性向上への“伴走型”支援の実施を求めてきた。
同省は、賃上げ促進に向けた既存の支援メニューを拡充する。
「ものづくり」「IT導入」「省力化投資(一般型)」の各種補助金については、補助率を最大2分の1から3分の2に引き上げる最低賃金引き上げ特例の要件を緩和。従来の「地域別最低賃金プラス50円以内」で雇用する従業員が30%以上いる場合から、「改定後の地域別最低賃金未満」で雇用する従業員が30%以上いる場合まで拡大する。
また審査段階においても、最低賃金全国平均の引き上げ目安「63円」以上に事業内最低賃金を引き上げた事業者などに加点し、優先的に採択する。
生産性向上支援センターについては、各都道府県にある国の中小企業向け相談窓口「よろず支援拠点」に設置。飲食や宿泊、製造業など業種ごとに一定の現場年数を重ねたサポーターらが生産性向上を後押しする。専門の相談員が事業者の省力化や業務改善に向けて伴走型で支援する。
具体的には、サポーターが事業所を訪問し、業務の時間短縮やコスト削減などの目標を事業者と共に決め、計画を策定。その後もブラッシュアップを繰り返して実施していく仕組みだ。支援は10回(月1回)程度を見込んでいる。
同施設の先進事例となった福岡県中小企業生産性向上支援センターでは、開設から5年間で270件の支援が完了。累計で約13億円のコストを削減し、賃金アップにつなげている。
経産省の担当者は「今回の支援を通じて、『誰が』『何を』『どうしていくか』を明確にし、生産性向上につなげていきたい」と語る。
このほか、価格転嫁や支払期間短縮などの協議に応じない企業への監視強化や、小規模事業者が販路開拓や生産性向上に活用できる「持続化補助金」の活用なども促す。
最低賃金について公明党は、2020年代に全国平均1500円への引き上げを掲げ、中小企業の生産性向上支援などを強力に推進。8月4日には、来年度予算の概算要求に関する重点要望で、経産省に対し、よろず支援拠点における丁寧なサポート体制の構築や省力化への支援などを提言していた。