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補正予算に公明の主張反映/ここがポイント!

公明新聞2024年12月19日付 3面

 2024年度補正予算が17日、成立した。一般会計の歳出総額は13兆9433億円。公明党の主張が随所に反映された。ポイントを紹介する。

■物価高地方独自の対策へ

 物価高から国民生活を守るため、公明党が訴えてきた「地域の実情に応じたきめ細かい支援」の財源として、自治体が独自に活用できる「重点支援地方交付金」が1兆908億円計上された。

 同交付金は、学校給食費の負担軽減やプレミアム(割り増し)付き商品券の発行、中小企業に対するエネルギー価格高騰支援など、幅広い対策に利用できる。

 公明党は既に、各地で首長への要望などを実施。ネットワークの力をフルに生かした物価高対策を進めていく。

■低所得世帯に給付

 同交付金で、物価高の影響を強く受ける低所得世帯への給付も実施される。住民税非課税世帯1世帯当たり3万円(目安)。子育て世帯には子ども1人当たり2万円を加算する。

■電気・ガス、燃油費を補助

 生活者の目線で公明党が訴えてきた、暖房の使用量が多くなる冬場の電気・都市ガス代の負担軽減策(3194億円)や、ガソリンなどの燃料油価格を抑制する激変緩和措置の継続(1兆324億円)への予算も計上された。

 電気・都市ガス代の負担軽減策は、来年1月から3月使用分まで実施され、1月、2月の電気料金は1キロワット時当たり2・5円、ガスは1立方メートルあたり10円を補助する。2人以上世帯の全国平均で電気・ガス代合わせて、月1300円程度の値引きにつながる計算だ。3月は規模を縮小して実施する。

 燃料油価格を抑制する措置は、補助幅を段階的に縮小しながら継続する。

■中小の賃上げ原資確保策

 物価上昇を上回る賃上げを実現するには、日本の従業者の約7割が働く中小企業の賃上げ環境の整備が不可欠だ。

 そこで、補正予算には公明党の主張で、中小企業・小規模事業者の生産性向上や設備投資への支援など、総額5600億円が盛り込まれた。

 ものづくり補助金やIT補助金など、生産性向上を支援する各種補助金の拡充や、売上高100億円をめざす企業の設備投資を支援する「中小企業成長加速化補助金」の創設など、企業の“稼ぐ力”を強化する施策が充実。価格転嫁の促進や経営相談体制の強化なども一体的に進む。

■能登地域の支援、防災・減災

 公明党が一貫して力を入れている防災・減災の取り組みに関しては、能登半島地震の被災地の支援なども含めた自然災害からの復旧・復興に、6677億円が計上された。

 大きな打撃を受けた能登地域のなりわい再建や、災害廃棄物の処理加速化、河川や道路などインフラの本格復旧への支援が進む。

 加えて、防災・減災国土強靱化「5か年加速化対策」関連の公共事業費に1兆4063億円を計上。資材価格の高騰に対応するとともに、全国的な水道管の耐震化などの緊急対策を促す。

 激甚化する線状降水帯や台風の予測精度向上のための予算451億円も盛り込まれた。

■体育館へのエアコン設置

 災害時の避難所にもなる学校体育館への空調整備には、779億円が計上された。

 自治体への特例交付金を新設し、公立小中学校などの体育館への空調整備について、関連工事を含めた費用の2分の1を補助する。

 公明党は国会質問などで学校体育館への空調整備を推進。国の補助制度拡充などにより、17年4月時点で1・2%だった全国の設置率は今年9月時点で18・9%まで上昇した。

 11月に行った総合経済対策策定に向けた石破茂首相への提言では、さらなる設置ペースの加速を要望。その後の国会質問で石破首相は「公明党の提言も踏まえ、整備のペースを2倍に加速する」と明言している。

■避難所環境の抜本改善

 公明党が先の衆院選の重点政策にも掲げて強く訴える、避難所環境の抜本的な改善が進む。

 避難生活に欠かせないTKB(トイレ、キッチン、ベッド)の充実に向け、簡易トイレや段ボールベッドなど防災備蓄の整備を進める自治体を支援する。財源は、今回の補正予算で新設される「新しい地方経済・生活環境創生交付金」の一部が充てられる。

 このほか、災害時に被災地からの要請を待たずに物資を届ける「プッシュ型支援」の加速には13・6億円を計上し、備蓄拠点を全国7カ所に新たに整備し、温かい食事などをいち早く届けられるようにする。

 自治体などが保有するキッチンカーやトイレカーなどを迅速に被災地に派遣するための登録制度創設(0・6億円)や、NPO・ボランティア団体の交通費の一部補助(2・8億円)なども実施する。

■医療・福祉の賃金アップ

 医療、介護、障がい福祉分野の賃上げや職場環境改善に向けては、2304億円が計上された。

 生産性向上に資する設備導入を進める医療機関への給付金、職員の処遇改善や業務効率化に努める事業所への補助事業などが実施される。

■AI・半導体など技術への投資

 日本の持続的な賃金上昇に向けた成長戦略として、半導体やAI(人工知能)など先端技術への投資は重要だ。補正予算には、関連する産業の基盤強化へ、先端半導体の設計や半導体の国内生産拠点の整備を支援するための経費として、1兆3054億円が盛り込まれた。

■子育て世帯の住宅省エネ推進

 子育て世帯・若者夫婦世帯による省エネ性能が高い住宅の取得・リフォームへの補助制度の拡充などには1809億円が計上された。

 補助制度の対象は、これまでの持ち家の取得・リフォームなどに加えて賃貸にも広げ、子育て世帯を優先的に入居させることなどを条件に、大家に最大100万円を補助する。

■クリエイター支援

 日本の基幹産業の一つであるマンガ、アニメなどの文化・芸術に携わるクリエイターの支援に190億円が計上された。

 必要なスキルを身に付けるための育成プログラムの実践を支援するとともに、海外展開の促進に向け、コンテンツの流通や情報発信強化のための事業を実施する。

■訪日客誘致

 インバウンド(訪日客)拡大に向けた地方への誘客促進や、観光地・観光産業の高付加価値化に向けては、538億円が計上された。

 それぞれの地域にある資源を生かした魅力的な観光地づくりへの支援や海外への積極的な情報発信のほか、オーバーツーリズム対策なども進める。

■防犯対策の強化

 増加する“闇バイト”による強盗などの犯罪への対策として、防犯力強化に向けた予算も確保された。

 「新しい地方経済・生活環境創生交付金」などを活用し、防犯カメラの増設など、地域防災力の強化を支援するとともに、警察が持つ資機材の高度化や広報・啓発の強化策などを実施する。