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生活者を豊かにする総合経済対策/公明党の主張が反映/岡本政調会長に聞く

公明新聞2024年11月24日付 1面

 物価高を上回る賃上げの流れをつくり、生活者の暮らしを豊かにするため、政府は22日に事業規模39兆円程度の新たな総合経済対策を決定しました。これには公明党が提案した賃金・所得増への方策や物価高対策など数多くの施策が盛り込まれました。岡本三成政務調査会長にポイントを聞きました。

■(家計を温める)賃上げ拡大し所得を増やす

 --総合経済対策に反映された公明党の考えは。

 今回、公明党が最もこだわったのが、家計を温めることで一人一人が生活の豊かさを実感できる施策を前に進めることです。

 まずは物価上昇を上回る賃上げで賃金・所得を増やします。そのための企業収益の改善を後押ししていきたい。例えば、中小企業・小規模事業者の業務改善、設備投資の支援を充実させます。併せて、賃上げを促す税制支援、継続的な最低賃金の引き上げを進めていきます。

■「103万の壁」野党と徹底議論

 --決定の過程で野党とも議論しました。

 先の衆院選の結果を真摯に受け止め、野党と議論を尽くしました。主要野党に声を掛け、応じてくれた国民民主党とは5回にわたり協議しました。

 国民民主党から要請のあった、税の負担が生じ始めることで働き控えを招く「年収103万円の壁」の引き上げや、ガソリン税を軽くする「トリガー条項」の凍結解除の検討を対策に盛り込みました。

 いずれも公明党が以前から進めていた対策でもあり、意見が異なる自民党と国民民主党の橋渡し役として合意形成の要役を担いました。今後、税制協議や予算編成でも、野党に協議を持ち掛けていきます。

■(物価高対策)自治体の多様な施策後押し/電気・ガス代軽減を再開へ

 --物価高対策の内容を教えて下さい。

 自治体が独自の物価高対策に使える「重点支援地方交付金」を一層追加します。同交付金は幅広い取り組みに活用でき、これまで学校給食費の軽減やプレミアム付き商品券、キャッシュレス決済ポイント還元、LPガス(プロパンガス)代支援などに使われてきました。公明党のネットワークで各地域の声を聴き、自治体の実情に応じた多様な施策を進めます。

 また、家庭の電力使用量が最も大きくなる冬の時期に合わせ、来年1月から3月に電気・ガス代の支援を再開します。ガソリンなど燃料費への補助は期限を延長して支援を継続します。

 一方、物価高の影響を強く受けている低所得世帯については、住民税非課税世帯1世帯当たり3万円を目安に給付するほか、非課税世帯のうち、子育て世帯には子ども1人当たり2万円を加算します。いずれも物価上昇率を踏まえて算出した根拠ある金額です。

■(防災・減災)能登災害の復旧・復興に総力

 --能登半島の復旧・復興については。

 被災者の生活・なりわい再建のため、観光や伝統産業など能登半島の魅力を生かした「創造的復興」を加速させていきます。

 特に、壊滅的被害を受けた市道・町道や上下水道の早期復旧、大雨による災害への対応、住居確保や産業再建も含め、必要な支援を被災者に寄り添い、一体的に進めていきます。

 そのために、被災地で、がれき処理などに当たる解体事業者らの支援へ、請負工事単価の引き上げや宿泊場所の確保などにも取り組みます。

■全国で避難環境の改善加速

 --防災・減災の対策は。

 能登半島の被災地も含め避難所における生活環境の改善を全国で推進していきます。具体的には、トイレや簡易ベッドの備蓄などに加え、災害時には避難所にもなる学校体育館のエアコン(空調)整備について、設置ペースの倍増を図っていきます。女性の視点に立った避難所運営にも万全を期していきます。

■(今後の取り組み)

 --課題は何か。

 総合経済対策は、あくまで政府の方針を決めただけに過ぎません。スピーディーかつ適切に執行できるようチェックし、必要に応じ政府に指摘していきます。

 対策を執行する上で、地方自治体に頼る部分は大きく、特に重点支援地方交付金については、公明党の国会議員と地方議員のネットワークで必要なプランを形にし、迅速に現場へ届くようにすることが非常に重要になってくると思います。

 一方、今回の対策後も、物価高で苦労されている幅広い層への支援が必要だとの認識で、議論をスタートするよう首相に申し入れ、自民党にも内諾を得ています。国民生活に役立つ支援を追求していきます。