“気付きにくい障害”と呼ばれる高次脳機能障害を題材にした長編ドキュメンタリー映画『いのち見つめて』の上映会(同製作委員会主催)が今月6日、兵庫県尼崎市で開かれ、当事者家族や市民ら約100人が参加した。上映会後に開かれた関係者によるクロストークには、公明党の里見孝枝県議が登壇した。 ■ドキュメンタリー映画『いのち見つめて』上映会/クロストークで公明議員が登壇 『いのち見つめて』は、高次脳機能障害の患者とその家族の奮闘に光を当てたドキュメンタリー作品で、2021年に公開。理解の輪を広げようと、これまでに自主上映会も含め全国約50カ所で上映されてきた。現在は、続編となる第2弾の製作も進められている。 劇中では、1963年11月に福岡県大牟田市の三井三池炭鉱三川坑で発生した炭じん爆発事故に言及。458人が死亡、839人が一酸化炭素中毒患者となり、記憶障害など重い後遺症に長年苦しんだ歴史を振り返る。そして、高次脳機能障害は決して人ごとではなく、誰にでも起こり得るものであると呼び掛けている。上映会後、作品にも登場し、25年以上にわたり専門的な診療を続けている脳神経外科医の山口研一郎氏が講演した。山口氏は、昨年12月に成立し、今年4月から施行された「高次脳機能障害者支援法」を評価する。その上で、高次脳機能障害を抱えている人は「全国で推計50万人以上といわれるが、診断がついている人は1万人ぐらいだろう」と指摘。当事者が支援を受けるために必要な診断を行う専門の医療機関を広げ、法律の実効性を高める重要性を強調した。 この後のクロストークでは、山口氏らと共に、当事者家族の城戸美智子さん、里見県議が登壇した。 城戸さんの娘・洋子さんは、中学3年生だった1995年、阪神・淡路大震災でピアノの下敷きになり、脳に重い障害を負った。高次脳機能障害の診断を受けて適切な治療を受けるまで、長い年月を要した経験と苦悩を涙ながらに吐露。同支援法の制定を喜ぶとともに、「国は法律を作って終わりではなく、責任を持って(法律が)機能しているか気に掛けてほしい」と訴えた。 里見県議は、今年度から兵庫県立リハビリテーションセンターで実施している支援者養成研修の定員が60人から120人に拡充されたことを報告。一方、行政側における高次脳機能障害への理解が十分に進んでいない現状を変えていくため、「困っている人たちが窓口でしっかり支援につながる体制を作っていく」と決意を述べた。 ◇ 今回の上映会の開催に先立ち、里見、谷井勲、竹尾智枝の各県議は先月23日、中道改革連合の中野洋昌幹事長代行と共に尼崎市内で北村好弘プロデューサーらと懇談。中野氏は「現場の実態に即した支援策が前に進むよう、これからも頑張りたい」と話していた。