海を望む高台に、築65年を過ぎた趣ある平屋が立ち並ぶ。神奈川県横須賀市田浦にある「月見台住宅」。以前は市営団地だったが、2021年3月までに高齢化などを理由に全住民が退去。その後、手つかずの状況が続いた。25年7月から官民連携で、住みながら商いを営む「なりわい住宅」として再生。全47戸中44戸が入居し、入居率は94%に(今月15日現在)。飲食店や古着屋などの各店舗が、にぎわいを生んでいる。
■居住者「“横のつながり”が魅力」
「コーヒーを飲みながら海を眺めてボーっと過ごすのが大好きで、老後のためにお店を開く場所も探していた。ピッタリの場所でした」
高山明さん、桂子さん夫妻が月見台住宅で週末を中心に開く店は「CAFE SHUTTLE」。焼き立てのクロワッサンが一番人気で、売り切れることもしばしば。リピーターも増えている。パン作りを担当する桂子さんは、夢をかなえるためにIT企業を退職。数年間、パン作りの修行に励み、イロハを一からたたき込んだ。横浜市の自宅と行き来しながら夫妻で店を営んでいる。
「なりわい住宅」の魅力は客との交流。それに加え、高山さん夫妻は「同じように夢を追いかけ、お店を開く人たちとの“横のつながり”」と語る。
■改修後に賃貸、2拠点生活も
古着屋「元亨利貞JAPAN」のオーナーの村西斐沙乃さんは、東京都内との2拠点生活中。毎週金~日曜日と祝日に店を開け、それ以外は都内の別の職場で働く。常設店舗を持つのは今回が初めてで、決め手は、海が見えて自然が豊かな環境と都心からのアクセスの良さという。「ゆくゆくは田舎に移住してお店を開きたいと思っている。2拠点から始めることで、将来へのイメージが鮮明になった」と笑顔を見せた。
なりわい住宅の改修に当たったのは、横須賀市から土地や建物を無償で借り受けた株式会社エンジョイワークス(神奈川県鎌倉市)。入居者のニーズに合わせるため、内装や外装の引き渡し時の仕上げレベルを3段階用意。床や内壁などのない骨組み状態から、生活できる状態の段階まで選べるようにした。募集開始時は賃料を月5万3000円から同17万4000円までに設定した。
■関係人口増に直結。公明県市議が視察
公明党の亀井貴嗣県議と横須賀市議団(関沢敏行団長)はこのほど、県内外から多くの訪問客を呼ぶ月見台住宅を視察し、入居者と和やかに懇談。この中で、移動手段の充実に向けた要望も受けた。視察後、亀井県議は「空き家を活用した官民連携のモデルケースだ。観光振興、関係人口増につながるため、党市議団と連携して事業を後押ししたい」と決意を述べた。





