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(トランプ関税)中小企業支援に総力/公明、影響把握へ緊急調査/経営者の声聴く
公明党は、トランプ米政権による関税措置の影響を把握するため、全国で中小企業を対象とした緊急調査を行っている。19日には、斉藤鉄夫代表が横浜市内の電子機器設計関連会社、竹谷とし子代表代行が東京・墨田区内の自動車タイヤ販売店、西田実仁幹事長が名古屋市内の自動車関連部品製造会社をそれぞれ訪問し、経営者らと懇談した。今回の緊急調査は、今月16日から来月25日までの40日間実施し、関税措置への対応や要望事項などの調査結果を踏まえ、政府に支援策を提案する予定だ。
■生産減への不安吐露/神奈川で斉藤代表
斉藤代表は、横浜市を訪れ、山勝電子工業株式会社の金究武正代表取締役社長と意見交換した。これには、党神奈川県本部の三浦信祐代表(参院議員)が同行した。
同社では、半導体製品に使うプリント基板やメモリー製品など電子機器の受託製造サービスとして、社内設計に基づいた部材調達・試作・量産製造まで一括して行っている。
今回の関税措置の影響を巡り、金究代表取締役社長は、自社の製品をメーカーを通じて米国に輸出している状況を説明し、「生産数が減少することで、業績が悪くならないか不安だ」と心境を吐露した。
一方、企業の技術力向上を図る上で、技術者の確保・雇用維持が重要と述べ、持続的な賃上げの重要性を強調。その上で「資金繰り支援など手厚くしてほしい」と語った。このほか、円高への懸念もあることから、為替・金利リスク対策を求める意見なども出た。
斉藤代表は「日本の産業基盤を支えている企業が世界の大市場で活躍できるよう、中小企業支援に全力で取り組む」と語った。
■自動車部品、米への輸出に打撃/東京で竹谷代表代行
竹谷代表代行は、自動車のタイヤ販売や交換などを行う「ミスタータイヤマン向島磯」(墨田区)を訪問し、磯タイヤ工業株式会社の磯文雄代表取締役社長(東京自動車タイヤ商工協同組合理事長)から話を聴いた。加藤まさゆき都議(都議選予定候補=墨田区)が同行した。
同社の現状について磯社長は、国内メーカーから商品を仕入れて販売しているため「まだ影響はない」と説明。一方、5月3日までに米国に輸出する自動車部品に対して25%の追加関税が適用される方針のため、これまで米国にタイヤを輸出してきた組合員から「輸出が完全に途絶えかねない」との窮状が寄せられていると伝えた。
また、磯社長は今後、世界経済が混乱すれば、日本の景気にも悪影響を及ぼしかねないと懸念を示し「先行きが見通せず不安だ。国内の経済を下支えしてほしい」と要請した。
竹谷代表代行は「生の声を受け止め、対策に全力を注ぐ」と強調した。
■仕事量の確保が心配/愛知で西田幹事長
西田幹事長は、名古屋市緑区にある自動車関連部品を製造する中小企業2社を訪問した。これには、岡明彦県議が同行した。
金型を使って自動車部品などのプレス製品を生産している株式会社村田工業所で、村田豊高代表取締役は、米国の関税措置について「来月の注文から影響が出てくるかもしれない」と懸念を示した。自動車のシート部品を製造する櫻井工業所で、櫻井昇代表取締役は「関税の影響はまだ分からない」とした上で、今後、注文が減るなどして「仕事量が確保できるかが心配だ」と訴えた。
調査を終えた西田幹事長は「トランプ関税の影響を見極めて、中小企業が経営を継続できるよう、資金繰り支援などの経済対策を政府に提案していく」と語った。