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子どもたちの願い世界に届け/戦後80年、平和イベント開催/東京・東大和市

公明新聞2025年8月23日付 7面

戦争遺跡前にキャンドル400個

 世界から戦争がなくなりますように--。東京都東大和市は16日、戦後80年の節目を迎えた平和イベント「平和市民のつどい」を都立東大和南公園内で開催した。同日夜には公園内の戦争遺跡「旧日立航空機株式会社変電所」(以下、変電所)がライトアップ。建物前の「平和広場」には、子どもらが平和を願って作ったキャンドル約400個がともされた。

■公明が提案し21回目

 外壁や屋内に生々しく残る無数の弾痕。戦時中などに使用されていた配電盤や宿直室。この変電所は第2次世界大戦で米軍機から3回にわたって爆撃を受け、周辺工場の約8割が壊滅する中、奇跡的に持ちこたえた戦争遺跡だ。「公園を平和の発信地に」との市議会公明党(佐竹康彦幹事長)の提案を受け、2005年から「平和市民のつどい」を開催し、今年で21回目。

 今回の「つどい」は、市内の小中学生の代表が今夏に派遣事業として広島県を訪れ、被爆者の体験を聞いたり、広島平和記念資料館で学んだりした様子を報告した。このうち、中学2年の女子は「自分は直接、戦争に関わっていないけど、自分たちの地域にも戦争があったことを伝えたい」と話した。

 あいさつに立った和地仁美市長は、小中学生の広島派遣事業でのワークショップに言及。「今の世界を平和だと思うか?」という子どもたちへの問いに対し、ほとんどの子どもが「平和ではない」と回答していたことに触れ、「子どもたちは今の世界をしっかり見ている。子どもたちが平和だと感じられる世界にするためにも、まずは私たち大人がピースクリエイター(平和をつくる人)にならなければいけない」と強調した。

 イベント後半では東大和少年少女合唱団による平和コンサートが行われ、最後は平和への思いを込め、会場全員で童謡『ふるさと』を心一つに合唱した。

 また、市は戦後80年の特別動画を作成した。今回のイベントで初公開した被爆者インタビューの中で、出演した市民の田戸サヨ子さんは14歳の時に広島市で爆心地から3キロの地点で被爆した当時の様子を振り返りながら、「白いご飯なんて食べたことなかった。今は当たり前ですけど、当たり前じゃないことを知っていただきたい」と強調。その上で「平和の時代に役立つ人材に育ってほしい」と若者らにメッセージを送った。

 市議会公明党はこれまで議会質問を通じ、「平和市民のつどい」の開催提案から、老朽化した戦争遺跡ふるさと納税を活用した保存まで一貫してリード。都議会公明党も変電所周辺エリアを「平和広場」と名付け、標柱を設置するなど環境整備を後押ししてきた。