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(被爆80年)「核なき世界」実現必ず/被爆の実相国内外へ/長崎原爆の日、斉藤代表が式典に出席
長崎は9日、80回目の原爆の日を迎えました。長崎市の平和公園では市主催の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれました。鈴木史朗市長は平和宣言で、世界各地で起きている武力衝突の即時停戦を要請。核戦争突入の危険性から「人類存亡の危機が差し迫っている」と訴えました。6日に80回目の原爆の日を迎えた広島でも市主催の平和記念式典が開かれました。公明党の斉藤鉄夫代表は両式典に出席し、犠牲者を追悼するとともに「核なき世界」の実現へ決意を新たにしました。
式典には被爆者や遺族、石破茂首相のほか、94カ国・地域と欧州連合(EU)の代表が参列し、台湾は初めて出席。市が昨年は招かなかったロシアやベラルーシ、イスラエルも参加しました。公明党から斉藤代表、谷合正明参院会長、吉田宣弘衆院議員、秋野公造参院議員、川崎祥司、宮本法広、本多泰邦の各長崎県議のほか、久八寸志、山本信幸、永尾春文、林広文、福沢照充の各長崎市議らが出席しました。
「核兵器による死と苦しみを、たとえ一人たりとも許してはならない」。鈴木市長は平和宣言で、長崎の被爆者で日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)元代表委員の故・山口仙二さんが1982年、国連軍縮特別総会で演説した際の言葉を引用し、「ノーモア・ヒバクシャ」の叫びは「被爆者の思いの結晶そのもの」と訴えました。
被爆者を代表し、「平和への誓い」を読み上げた西岡洋さん(93)は、日本被団協のノーベル平和賞受賞に言及した上で、「平和につながるこの動きを絶対に止めてはいけない。さらに前進させよう」と呼び掛けました。
石破首相は、あいさつで「核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みを主導していくことこそがわが国の使命」と述べました。
式典では、7月末までの1年間に新たに判明した原爆死没者3167人の名前を記した原爆死没者名簿3冊を遺族らが奉安。原爆投下時刻の午前11時2分に合わせて1分間黙とうしました。死没者数は20万1942人となりました。
■広島の式典、120カ国・地域が参列/ICAN事務局長とも意見交換
6日、広島市中区の平和記念公園で平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族、石破首相のほか、120の国・地域と欧州連合(EU)代表部ら約5万5000人が参列。公明党から斉藤代表、谷合正明参院会長、平林晃衆院議員、原田大二郎参院議員、栗原俊二、尾熊良一、石津正啓、岡部千鶴、井上謙一郎、相沢孝の各広島県議、西田浩、碓氷芳雄、石田祥子、川村真治、並川雄一、田中勝、川本和弘、幸城麗子の各広島市議が出席しました。
原爆投下時刻の午前8時15分、「平和の鐘」が打ち鳴らされると、1分間の黙とうをささげました。
式典後、斉藤代表は広島市内で核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パーク事務局長と会い、核廃絶に向けて意見を交わしました。
斉藤代表は、公明党が核兵器禁止条約の締約国会議への日本のオブザーバー参加を政府に訴えてきたことを報告。「来年の第1回再検討会議には、ぜひオブザーバーとして参加するよう、しっかりと働き掛けていく」と力説しました。
パーク氏は「私たちは共に世界の平和と核廃絶という同じ目的を持っている」と述べ、公明の尽力に謝意を表明。その上で、現在の国際情勢や地政学的対立を踏まえ「核廃絶は今こそ緊急に必要だ」と強調し、「日本に勇気を振り絞って条約に参加してもらうことを望んでいる」と語りました。
■公明、平和創出の先頭に/核廃絶へ「橋渡し役」担う/斉藤鉄夫代表
公明党として5月に「平和創出ビジョン」を発表し、核廃絶への揺るぎない姿勢を示しました。非核三原則を堅持し、核兵器禁止条約の批准に向けた環境整備を進めていきます。
唯一の戦争被爆国として、核の使用や威嚇、核共有、核保有に断固反対します。広島、長崎の平和式典に出席し、その決意を新たにしました。第1の理由は、唯一の戦争被爆国としての使命があり、ほとんどの国民が非核三原則を支持しています。
第2に、国際的信頼が喪失します。核保有は、NPT(核兵器不拡散条約)体制離脱を意味し、世界から受ける経済制裁や外交的孤立を考えれば、あり得ない選択です。
第3に、地域の不安定化や、北東アジアの軍拡競争の加速を招きます。第4に、核保有には莫大なコストがかかります。核共有を認めても、それを受け入れる自治体があるとは考えられません。
「核兵器のない世界」の実現へ、“被爆の実相”を国境や世代を超えて伝える役割を、党のネットワークの力で果たしたい。そして、核保有国と非保有国の橋渡し役を担い、分断と対立をなくしていく努力こそが平和をつくる。「平和の党」として努力していきます。