公明新聞電子版 詳細ページ
若者の奨学金返還を応援/企業の“肩代わり”拡大/経済負担軽減、3700社超が導入
奨学金返還への不安が軽減--。公明党が若者の声を代弁して一貫して推進してきた、奨学金の返還を支援する取り組みが着実に広がっている。従業員の返還を企業が“肩代わり”する「代理返還」制度には、6月末までに延べ3700社以上が登録。自治体による返還支援も全都道府県と約5割の市区町村で実施され、返還者の経済的な負担軽減や、企業の人材確保につながっている。
代理返還制度は、学生時代に日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金(第一種・第二種)を利用した人が対象で、企業などが従業員の返還額をJASSOに送金して支援する。昨年度時点で1万2000人以上が支援を受けていた。
企業による返還支援は従来、支援額を「給与に上乗せ」するといった方法で行われてきたが、2021年4月からは企業が直接JASSOへ送金できるように。従業員自身が給与の上乗せ分から返還する方式と異なり、支援額の所得税は非課税となる。報酬にも含まれないため、社会保険料が増えず、手取りが減らないメリットがある。
企業側も導入の利点は多い。返還額を損金算入でき、法人税の課税対象所得が軽減されるほか、一定条件を満たせば税額控除も可能。福利厚生の充実により、企業価値の向上や雇用の安定といった効果も見込まれる。
JASSOは制度案内のチラシを作成し、支援を受ける従業員と制度を利用する企業の双方のメリットを掲載。「負担が軽減され、自分の将来の成長について考える時間ができました」(従業員)、「制度を利用することで離職率はかなり抑えられている」(企業)といった声を紹介し、活用を促している。
返還支援は企業の取り組みだけではない。各自治体でも地方創生の観点から独自に支援を展開している。内閣官房の調査によると、昨年6月時点で47都道府県と816市区町村にまで拡大。UIJターン就職の促進策としても注目されている。
■公明、制度充実を推進、支援拡充へ「減税」も提唱
返還支援を巡って公明党は、国会質問や政府への提言を通じて制度拡充を推進。7月の参院選では、代理返還制度を導入するメリット拡大などを党の重点政策で訴え、さらなる充実を主張した。
さらに、党独自の政策立案アンケート「We connect」で若者世代から多く寄せられた「奨学金返済の負担を軽減してほしい」との声を踏まえ、返済額の一定割合を所得控除できる「奨学金減税」を新たに提唱。政策実現に向けた具体的な議論を開始するなど、若者を応援する取り組みに力を注いでいる。