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(公明ニュースプラス)体外受精で生まれた子が過去最多/保険適用で治療受けやすく/23年に8.5万人、9人に1人

公明新聞2025年9月22日付 1面

 2023年に国内で実施された不妊治療のうち、体外受精で生まれた子どもは22年から7842人増加し、過去最多の8万5048人に上った。日本産科婦人科学会が8月29日に公表した。23年の出生数72万7288人の約9人に1人に相当する。治療費の負担軽減に向け、公明党が長年推進して22年4月から始まった公的医療保険の適用が、要因の一つと考えられている。

 体外受精は、卵子と精子を体の外で人工的に受精させ、子宮に移植する治療法だ。同学会が統計を開始した1985年から2023年までの出生児は、累計で100万人を突破した。

 23年の治療件数は56万1664件。22年より約1万8000件増えた。年齢別で最も件数が多かったのが39歳(4万6181件)で、42歳(4万5572件)が続いた。

 保険適用により、治療は原則3割負担となり、1カ月の自己負担額に上限を設ける高額療養費制度も利用できる。子ども1人につき、治療開始時に女性が40歳未満なら6回まで、40歳以上43歳未満は3回までが条件となっている。

 体外受精で生まれた子どもが23年に過去最多となった背景について、日本産科婦人科学会の片桐由起子氏(東邦大学教授)は「いずれの年齢区分でも出生児数が増加したが、特に35歳未満の増加が著しく、保険適用により若い方がアクセスしやすくなったと推察される」と述べている。

■公明、負担軽減へ長年推進/妊娠・出産支援に力尽くす

 高額な不妊治療の負担軽減に向けて公明党は、1998年策定の基本政策大綱に「保険適用を実現」と明記。国会質問や署名活動などを展開し、2004年の特定不妊治療助成事業創設や、その後の助成額の増額、所得制限緩和などを進めた。

 20年には、プロジェクトチームを設置し、不妊治療への支援拡充を当時の菅義偉首相に提言。人工授精や体外受精といった生殖補助医療の定義、基本理念などを定めた生殖補助医療法(議員立法)の制定もリードした。

 今夏の参院選では、不妊治療について政策集で「実施状況を把握し、必要な制度改正を行う」などと訴えた。妊娠・出産を巡っては、女性やカップルが将来の妊娠を考えながら自らの生活や健康に向き合うプレコンセプションケアの推進などを提唱。重点政策として、妊娠・出産にかかる基礎的な費用の無償化も掲げた。公明党は今後も、子どもを望む人たちが安心して産み育てられる環境づくりに力を尽くす。