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衆院予算委、公明党の質疑(要旨)/岡本三成政調会長

公明新聞2024年12月13日付 3面

 11日の衆院予算委員会の2024年度補正予算案の基本的質疑で、公明党の岡本三成政務調査会長が行った質疑の要旨を紹介する。

■(中小企業)労務費含む価格転嫁へ/下請法改正、公取委の強化が必要

 岡本三成氏 総合経済対策では、主要政党からも意見をもらい大変良いものになった。今後、広く野党にも意見をもらい、政策を前に進めることを提案したい。

 石破茂首相 公明党と連立を組むようになってこれもあれも「知らなかった」ということを随分と教えていただいた。ありがたいことだった。いろんな党の考えを聞くことで多くの気付かなかった点を教えてもらえる。

 岡本 総合経済対策をスピーディーに執行し、一日も早く届けることが大切だ。中小企業の利益率を上げなければならない。持続的な賃上げと、中小企業が賃金の原資を稼げるよう確実に価格転嫁できる環境をつくることが不可欠だ。

 ほぼ全ての業界で資材費、人件費が上がっている。原材料費は転嫁しやすいが労務費は難しいという現状もある。買いたたきのみならず、交渉もせずに一方的に価格を据え置くような発注者もたくさんいる。下請けという法律の名前も含めて、下請法も改正すべきだ。公正取引委員会(公取委)の人数も少なすぎる。予算も人員も補強するべきだ。

 古谷一之公取委員長 一方的な価格の据え置きにも対応できるよう、現行の買いたたき規制のあり方の見直しなどを有識者会議で議論している。年内に議論を取りまとめ、下請法改正案の早期の国会提出をめざし、検討を加速したい。公取委の体制強化も進められればと思っている。

 岡本 地方自治体発注の官公需の工事などで価格転嫁できていない。今回の予算には、自治体が適切な価格で発注するための上乗せ分が入っている。予算の目的を徹底し、適切な価格で発注することを依頼してほしい。

 首相 お願いしていきたい。労務費も含め、価格転嫁の円滑化に対応するようにしたい。

 岡本 中小企業の利益率を高めるため、さまざまな補助金を今回の補正予算でも計上した。メニューは十分に出そろっている。最大の問題は、必要な中小企業のほとんどがその補助金の存在を知らないことだ。しっかりと周知を徹底すべきだ。

 武藤容治経済産業相 公的な金融機関だけではなく、地方銀行なども一体となって周知徹底することが必要だ。

 岡本 金融機関や税理士に(国が)お金を払って業務として(補助金などの)選択肢を示してもらうことも提案したい。

 政治が関わることができる唯一の賃金が最低賃金だ。昨年の中小企業の経常利益などを踏まえると、マクロ的には最低賃金1500円は十分、実現可能だ。対応できない中小企業もあるので、確実に実現できるよう、利益を上げる施策をどうしていくかが大切だ。1500円の確実な実現へ、どういうアクションプランを取るつもりか。

 赤澤亮正賃金向上・スタートアップ担当相 倒産などは絶対に最少にしなければいけない。生産性向上、価格転嫁、事業承継といった支援を全力でやっていきたい。

■(ハローワーク)高齢者の就労支える拠点に

 岡本 高齢になり仕事を続けたくても、どこに相談していいか分からない人が多い。ハローワークの活用を拡大し、人材供給の拠点にすべきだ。

 東京のハローワーク墨田では、課題解決型支援モデル事業が実施されている。履歴書の書き方から教えてくれる。人生相談をすると、どの業界の仕事が向いているかアドバイスしてくれる。面談だけでなく、電話やオンラインでも相談に乗ってくれる。

 問題は、ほとんどの人が存在を知らないことだ。宣伝してもらいたい。

 また、ハローワークのスタッフの3分の2は非正規だ。正規を希望する人は全員正規にする、そして十分な人員を確保する。ぜひお願いしたい。

 福岡資麿厚生労働相 モデル事業は、25年度以降もさらに広い範囲で実施できるよう体制確保に努めたい。非常勤職員の常勤化を進めたい。

■(地方創生)外国人観光客の消費増進を

 岡本 地域偏在なく産業を潤すには、インバウンド(訪日客)の拡大が大切だ。プレミアムな観光体験、気持ちよくお金を使える仕組みをもっと作り出して、ある観光地だけ(にぎわう)という偏在を解消していくことが大切だ。

 最大の問題は、観光産業が、賃金が安い産業になっていることだ。給料が高いからこの業界、この地方で働こうという状況をつくるため、どう気持ちよく、大きなお金を使ってもらうかという一点に絞って政策をつくってほしい。

 中野洋昌国土交通相(公明党) 30年の訪日外国人旅行消費額目標は15兆円だ。観光地の高付加価値化などを推進し、目標達成に向けて全力で取り組んでまいりたい。

 岡本 物価高に関して、生活者や企業を地域の実情に合わせて支援してもらおうと、重点支援地方交付金で1・1兆円を計上した。年末年始にご苦労をお掛けする自治体の首長、職員に対して、感謝の言葉を伝えてもらいたい。

 首相 年末の忙しい時期に多大なる尽力をいただくことは大変に申し訳ないが、心からの感謝を申し上げる。地域の実情をよく把握している公明党の地方議員にも心から感謝を申し上げる。

■(核兵器廃絶)被団協と会い、ねぎらって/首相「実現へ調整していく」

 岡本 10日夜(日本時間)、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)にノーベル平和賞が贈られた。日本は唯一の戦争被爆国であり、「核なき世界」を実現しようという大きな目標がある。

 一方で、現実の安全保障環境を考えると、米国の核の傘に守られていることの重要性もある。一見、相反するようだが、この状況をしっかりと捉えた上で、日本がめざす理想に向かって前に進んでいくことが重要だ。

 わが党の斉藤鉄夫代表は石破首相との会談で、「被団協の皆さんが帰国された後、ぜひ官邸にお招きして、これまでのご苦労をねぎらってはどうか」と申し上げた。石破首相からは「ぜひお招きしたい」というような答えがあった。

 斉藤代表が被団協の代表者に伝えると、「首相からお招きいただけるのであれば、これまでの話を聞いていただくとともに、今後のこともお話させていただきたい」と前向きなお話があった。被団協の代表を官邸に招き、苦労をねぎらってもらいたい。

 首相 (被団協が核兵器の悲惨さを)世界に広めたことは本当に意義深い。日本政府として、核兵器の悲惨さ、そして本当に言い難い大変なご苦労をされたこと、平和への思いを伝えていただいたことに、感謝以外の何ものでもない。

 斉藤代表のご尽力もいただき、(被団協との面会が)実現するとすれば、今後調整していく。