一冊の良書との出合いは、子どもたちが未来へ羽ばたく翼となります。4月23日の「子ども読書の日」から「こどもの読書週間」が始まりました(5月12日まで)。公明党のリードで25年前に成立した「子どもの読書活動推進法」が、その淵源となっています。本を通じて豊かな心を育む各地の取り組みや、専門家の視点を紹介します。
テレビを消し、家族で本を読み、感想を語り合う--。佐賀県伊万里市が推進する「家読」の現場を取材するため、ある家族の休日のひとときを訪ねました。リビングのソファに集まったのは綾部さん一家。多美子さんが絵本を開くと、3人の子どもたちと夫の良介さんがうれしそうにのぞき込みます。
「長女は幼い頃、機嫌が悪くても、読み聞かせをすると不思議と落ち着きました。今では下の弟に読み聞かせをしてくれています」と多美子さん。同じ絵本を見つめ、笑顔があふれ出す「家読」は、親子の絆を温める時間にもなっているようでした。
■まちかどに絵本箱
伊万里市内でも特に読書活動が活発な黒川町エリアを歩くと、珍しい光景が目に飛び込んできました。国道沿いやバス停のそばなど計8カ所に無人図書館「まちかど絵本箱」が設置されています。
2021年に地元住民らによって設置されたもので、いつでも、誰でも利用でき、返却期限はありません。下校中の小学生に話を聞くと「週1回くらい借りている」と、日常的に使われている様子でした。
本はまちづくりにも貢献しています。日本有数の造船所がある伊万里市では、東南アジアからの技能実習生が増えています。そこで同市では今年1月、絵本を通して日本の生活や風習に親しんでもらうワークショップを企画し、20人以上の外国人が参加しました。これは、文部科学省が昨年度から始めた読書を通じたまちづくりを推進するモデル事業の一環として開催されたものです。
伊万里市民図書館前館長の鴻上哲也さんは「本は世界を広げるとともに、人と人をつなぐ力がある。まちづくりのツールとしても役立つ」と力を込めます。
■全中学校で書評合戦
昨年度の文科省モデル事業には、伊万里市のほかに8団体が選ばれ、各地で多彩な取り組みが行われました。
北海道釧路市は、市内全中学校の授業で、おすすめの本を紹介し合う「ビブリオバトル」(書評合戦)を実施しました。各校の予選を突破した代表者による本大会には、100人以上の観客が来場。地元書店には紹介本の特集コーナーが設置され、地域一体で盛り上がりを見せました。
滋賀県は、琵琶湖南部を周遊するクルーズ船を借り切り、読書イベントを開催。地元小説家のトークイベントや、滋賀の童話集の読み聞かせなどが行われ、多くの参加者から好評を博しました。
愛知県瀬戸市では、ワークショップで市民が「瀬戸市の未来に残したい本」を選出し、手作りの本棚と共に地元商店街の店先に展示。読書を通じた住民交流や、商店街の活性化につながりました。
モデル事業は今年度も複数の採択が予定されており、文科省の担当者は「地域共生社会の実現につなげていきたい」と話しています。
■公明、環境整備を一貫して推進
公明党はこれまで一貫して、子どもの読書環境の整備に取り組んできました。
00年1月に、党女性委員会に「子ども読書運動プロジェクトチーム」を設置。学校や家庭での読み聞かせ運動、赤ちゃんに絵本を読み聞かせて贈呈するブックスタートなどを草の根運動として全国展開しました。こうした活動が01年12月の「子どもの読書活動推進法」成立、「子ども読書の日」制定に結び付いています。
その後も、地方議員が各地で推進し、赤ちゃんへの絵本贈呈事業は全国1500を超える市区町村に拡大(NPOブックスタート「全国調査2024」より)。国会の場でも、公明議員が読書活動の推進を強く訴えるなど、今なお子どもが本と触れ合う機会の充実に尽力しています。
■周囲の大人が一緒に本を開いて/学習院大学 秋田喜代美教授
読書をしない小中高生は、この10年で1・5倍に増え、小学校低学年の時点で3割超が“不読”という実態があります。
読み聞かせなどで幼児期から絵本や本に触れる機会が多い子どもは、小学校入学後も読書習慣を継続する傾向があります。家庭や保育所などで周囲の大人が一緒に本を開くことが大切です。
学校や地域では、教室に読書の場を設ける“学級図書館”など身近な場所で本に触れる機会を増やすことや、情報通信技術(ICT)の活用で推薦本を見える化するといった、子ども同士の触発を促す環境整備も必要です。
民間の調査では、約半数の子どもが、デジタル機器を使った学習で「深く考えて問題を解くことが減った」と感じています。今こそ、自分らしい思考や想像力を養える「読書」の重要性が高まっていると思います。





