可住地面積100平方キロメートル当たりの一般診療所数は、東京都が1000を超えるのに対し、北海道ではわずか15施設(総務省統計局)にとどまるといったように、都市部と地方の医療格差は大きい。地方での医師不足などは深刻になっており、医療の空白地域と医療機関を結んで行う「オンライン診療」の重要性が増している。4月から、患者が同診療のために訪れる「受診施設」制度が創設される。
■役場会議室が“診察室”に/山形県大江町で実証事業
「痛めていた腰の調子はいかがですか」「歩くのはどうですか」。3日の午後、山形県大江町役場内の会議室に設置されたモニター越しに、患者に語り掛けるのは、約6キロ離れた寒河江市立病院にいる後藤康夫院長(整形外科)だ。
患者とは、痛みの有無や歩行の違和感について言葉を交わす。傍らには病院から派遣された専門スタッフ(理学療法士)が寄り添い、端末操作や歩行動作の確認などをサポートする。この日の診察は5分ほどでスムーズに終了した。その後は、調剤薬局で服薬指導を受け、薬を受け取る。
これは、山形県が昨年度から行うオンライン診療実証事業の一場面だ。大江町内には整形外科対応の医療機関がない。通院負担軽減の観点から、定期的に寒河江市立病院へ通っている町民を対象に、通院による対面診療と併用する形で、役場でのオンライン診療の場を提供している。例えば、月1回の受診が必要な人の場合、2カ月に1度は役場で受診できるようになる。
■専門スタッフ同席し、高齢者も「安心して利用」
オンライン診療を終えた80代の女性は「画面越しでも先生の顔がはっきり見えており、安心して利用できる」と笑顔を見せた。送迎する家族は「自宅から役場までは車で5分ほどだが、冬場は積雪で路面状況が悪くなり、市立病院までは約30分かかっていたため、助かっている」と喜びを口にする。
後藤院長は「現場に専門スタッフがいることで、気になる点をその場で確認できる強みがあり、対面と遜色ない診察ができている」と強調する。
この実証事業は昨年度5人、今年度2人が利用したが、当初の予定通り今月で終了する。県の担当者は、今後の課題として通信料などのコスト面を挙げた上で、「利便性の高さは実証できた。今回の成果を基に、地域医療の持続的な仕組みづくりへつなげていきたい」と語る。
■公明推進で「受診施設」制度始まる
大江町で実施されたように、医療スタッフがサポートし、対面診療に近いサービスも提供できる“来院型”のオンライン診療。その普及に向けて厚生労働省は4月から、「オンライン診療受診施設」を制度として創設する。
公明党の推進で、昨年12月に医療法が改正されたことで、「受診施設」が法律に位置付けられ、診療所と比較して簡素な要件・手続きなどの下での整備が可能になった。
今回新設される「受診施設」は、従来の診療所とは異なり、診療科目などの届け出は不要。設置者の住所や氏名など必要最低限の届け出のみで開設が可能となる。設置主体も広がり、自治体のほか、一般企業やNPOなど医療従事者以外でも設置できるようになる。
■普及へ課題克服に全力/公明党参院議員、医師 原田大二郎氏
医師として長年、医療の最前線に立った経験がある国会議員の一人として、医療へのアクセス機会が乏しい離島や中山間地域などの住民の命と健康を守る取り組みの重要性を痛感している。“来院型”オンライン診療によって、スタッフによる一定のサポートを得ながら、適切な診療科の医師の診察を受けられるようにしていく意義は極めて大きい。
公明党は、こうした新たな医療の形を社会に定着させようと、医療法の改正を進め「オンライン診療受診施設」の創設を後押しした。さらに、身近な郵便局をオンライン診療の拠点として活用する体制づくりの推進を提案するなど、具体的な環境整備をリードしてきた。
今後は、「受診施設」の設置・運営などにかかる費用をどうしていくかといった課題が残る。オンラインで「対面と同じ水準の診断が可能か」との懸念点もあるだけに、通信技術や機器の開発を力強く後押ししていく必要もある。
全国の地方議員と連携しながら、普及への諸課題を克服していけるよう全力で取り組む決意だ。





