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(25年度予算案、閣議決定)子ども・子育て支援加速/「党応援プラン」本格実施/成長型経済へ賃上げ促進
政府は27日午前の臨時閣議で2025年度予算案を決定した。一般会計総額は115兆5415億円。公明党の主張を踏まえ、子ども・子育て政策の抜本強化へ児童手当拡充の通年実施や教職員、保育士らの給与改善などが盛り込まれた。政府は予算案を年明けの通常国会に提出。自民、公明の与党両党は、野党の賛同も得て年度内成立をめざす。=3面に予算案のポイント
25年度予算案では、デフレへの後戻りを防ぎ、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」実現への道筋を着実なものとするための政策に重点配分した。
歳出のうち、政策に充てる一般歳出は68兆2452億円。内訳では、社会保障費が24年度当初比1・5%増の38兆2778億円に上り、過去最高を更新した。新たな国民負担を生じさせない形で子育て支援策を拡充するため、医薬品の公定価格「薬価」の引き下げといった歳出改革を進めた。
賃上げを巡っては、人事院勧告に基づき公務員や保育士らの給与を改善。教員の働き方改革に対応し、残業代の代わりに上乗せする「教職調整額」を段階的に引き上げる。中小企業の賃上げに向けては、価格転嫁の促進、生産性向上や設備投資への支援を強化する。
公明党の「子育て応援トータルプラン」を反映した、政府の「こども未来戦略・加速化プラン」に基づく取り組みも本格化させ、高等教育の負担軽減、今年10月から始まった児童手当の所得制限の撤廃や高校生までの支給延長を通年で行う。1歳児に対する保育士の配置を国の基準より手厚くする保育所などに運営費の加算措置などを行い、保育の質の改善を図る。
■地方創生、交付金を倍増
地方創生については、自治体の自由度が高い交付金を創設し、24年度当初予算比で2倍となる2000億円を確保する。
人工知能(AI)・半導体産業など先端分野への投資を促すほか、防災庁の設置を見据え、内閣府防災部門の定員・予算を倍増。能登半島地震の教訓を踏まえ、災害時に活用できるキッチンカーやトレーラーハウスなどの登録制度創設、避難所環境の改善を進める。
■過去最高の税収、78兆円の見込み
一方、歳入面では、税収が物価高と好調な企業業績を背景に、過去最高の78兆4400億円に増えると見込む。新規国債発行額は28兆6490億円となり、当初予算ベースで17年ぶりに30兆円を下回る水準に減少。結果として、国債依存度は24・8%と27年ぶりの低水準となる。
臨時閣議では、高校生年代(16~18歳)の扶養控除の現行水準維持や、所得税が課され始める年収「103万円の壁」について、123万円への引き上げなどを盛り込んだ25年度税制改正大綱も決定した。
■早期成立で生活守る/岡本三成政務調査会長
25年度予算案は①全ての世代の現在、将来の賃金と所得を上げる②地方創生の推進③防災・減災の強化--が大きな目的だ。先の臨時国会で成立した24年度補正予算と合わせ、幅広い世代の賃上げ・所得増、暮らしの安全確保に総力を挙げていく。
公明党は特に、賃上げに向けた中小企業支援や、子ども・子育て政策の充実、事前防災・能登復興の加速化を重視した。予算案の年度内成立に向け、野党を含めた合意形成をリードし、民意にかない、暮らしを豊かにする政策の実現にまい進していきたい。