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(「協調」を世界の潮流に)戦後80年、公明が平和創出ビジョン発表/「人間の安全保障」が基軸/北東アジア対話機構創設を
■記者会見で斉藤代表、谷合委員長
公明党の斉藤鉄夫代表は9日午前、国会内で記者会見し、「戦後80年」の節目に当たり党平和創出ビジョン策定委員会(委員長=谷合正明参院会長)がまとめた「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設を中核とする「平和創出ビジョン」を発表した。斉藤代表は日本の安保環境が厳しさを増す中、「平和国家としての道筋を国際社会に示していくことが日本の平和と安全につながる」と意義を強調。同席した谷合委員長もビジョンを踏まえ「平和の潮流をつくり出す決意だ」と力説した。=3、4面にビジョン全文
■17分野で提言、核廃絶、人間中心のAIも
平和創出ビジョンは、副題として「対立を超えた協調へ」を掲げた。一人一人の人間の尊厳に焦点を当てる「人間の安全保障」を基軸として、①平和の基盤づくり②現実への行動③ソフトパワーの強化-の三つの視点から「北東アジアにおける安全保障対話・協力機構」「核廃絶」「AI(人工知能)」など17分野において、平和創出に向けた包括的な提言を示した。
斉藤代表は「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設について「北東アジアでは、紛争を未然に防ぐ信頼醸成の仕組みが不可欠だ」と説明。谷合委員長は「欧州安全保障協力機構(OSCE)を参考に議論してきた。現在のアジアには、OSCEのような包括的で常設の安全保障のための対話・協力機関はない。対立する当事国が参加する常設の対話枠組みを新たに設置するべきだ」と訴えた。
「核廃絶」の分野に関して谷合委員長は「唯一の戦争被爆国として、核兵器の使用や威嚇、核共有の導入に断固反対する」と表明。「非核三原則を堅持し、核兵器禁止条約の署名・批准に向けた環境整備を進めたい」と述べた。
「AI」に関しては「倫理観や道徳性といった普遍的かつ内在的な人間の尊厳をより高めていく『人間中心のAI社会』を構築したい」として、「良識あるAI人材の育成プログラムや認証制度の創設をめざす」と語った。
■党推進委を新設しビジョン具体化へ
今後の取り組みについて斉藤代表は「党内に『平和創出ビジョン推進委員会』を新設し、ビジョンの具体化を進めていきたい」と述べ、被爆者や若者の平和を願う思いを胸に、平和創出へ総力を挙げる考えを示した。
同ビジョンは昨年8月6日、山口那津男代表(当時)が被爆地・広島で、策定に向けた議論を開始すると表明。党ビジョン策定委が、外交関係者や若者団体、NGO(非政府組織)、有識者との対話を通じて練り上げた。さらに広島、長崎、沖縄などの党都道府県本部とも連携。政策立案アンケート「We connect」で寄せられた声も反映して策定した。
■(党ビジョンのポイント)
■Ⅰ.平和の基盤づくり
・「北東アジア安全保障対話・協力機構」創設 ・核兵器禁止条約批准に向けた環境整備 ・「人間中心のAI社会」へ人材育成、平和利用
■Ⅱ.現実への行動
・ウクライナの地雷除去、復興に注力 ・激甚化する自然災害へ各国連携を強化 ・SDGs目標達成と新たな目標策定リード
■Ⅲ.ソフトパワーの強化
・教育を守る「学校保護宣言」への早期署名 ・海外との友好拡大へ「文化芸術省」創設 ・男女平等参画、国際会議の若者参画促す ・広島、長崎、沖縄の3県で国際会議を開催