公明新聞電子版 詳細ページ

ピックアップ

(広島でパグウォッシュ会議)核廃絶の潮流、強固に/被爆の実相、世界で共有/39カ国・地域の科学者、市民集い対話

公明新聞2025年11月2日付 1面

 世界各国の科学者らが核兵器廃絶に向けて議論する「パグウォッシュ会議」世界大会が1日、広島市内で開幕しました。63回目の今回は「被爆から80年 今こそ平和、対話と核軍縮を」がテーマです。5日までの期間中、被爆者や市民も交えた対話や講演、討論などが行われ、最終的に「広島宣言」の発表をめざします。開催を後押ししてきた公明議員も会場を訪れ、関係者と懇談しました。

■公明、開催後押し

 広島・長崎の被爆から80年の節目となった今大会には、世界39カ国・地域から科学者や政府関係者ら約190人が参加。会期中、核軍縮や中東の安全保障などについて意見を交わします。

 パグウォッシュ会議のフセイン・シャハリスタニ会長は、開会式で「核兵器はいまだ存在し、間違った使い方をするリスクも増えている。議論を通じて軍縮の新しい道筋を見いだし、対話の新しい枠組みを築いていこう」とあいさつしました。

 松井一実広島市長、湯崎英彦広島県知事による基調講演に続いて行われたセッション「被爆者と市民との対話」では、シャハリスタニ会長と共に広島の被爆者・小倉桂子さん(88)、被爆4世で第27代高校生平和大使の甲斐なつきさんが登壇しました。

 小倉さんは広島での被爆体験や原爆がもたらした惨状を語り、「過ちを繰り返してはならない」と訴えました。甲斐さんは「原爆投下の結果として、多くの人が無残に亡くなっていること、80年たっても傷が癒えないこと。それが原爆に対する答えだと思う」と意見を述べました。

 核兵器廃絶への道筋を話し合う討論には、ノーベル平和賞を受賞した4団体の代表者が出席。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳代表委員(93)は、核兵器が1回の爆発で数万、数十万人を殺し傷つけるとして「核兵器は兵器ではなく殺人道具だ。そのことを地球上の皆さんにきちんと理解してもらいたい」と強調しました。このほか、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の共同創設者で初代代表のティルマン・ラフ氏や、パグウォッシュ会議の鈴木達治郎執行委員長らも登壇しました。

 開会式に先立ち、シャハリスタニ会長らは広島市の平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑に献花。その後、広島平和記念資料館(原爆資料館)を視察しました。

■シャハリスタニ会長ら「共に歩み進めたい」

■谷合氏、平和の党の役割果たす

 公明党核廃絶推進委員長の谷合正明参院会長、党広島県本部平和創出委員長の田中勝・広島市議らは1日、パグウォッシュ会議のフセイン・シャハリスタニ会長、カレン・ホールバーグ事務総長、鈴木達治郎執行委員長、稲垣知宏大会実行委員長と懇談しました。

 シャハリスタニ会長は「核兵器使用のリスクが高まる中、被爆地・広島で世界大会を開催することができた。公明党は核廃絶へ長年努力してきた大事な政党だ。今後も共に歩みを進めたい」と述べ、ホールバーグ事務総長は「平和に向けた連帯の力を若い世代へ継承することが重要だ」との考えを示しました。

 谷合委員長は「被爆80年の節目に、パグウォッシュ会議が被爆地・広島で開催されたことは、核廃絶に向けた潮流をつくっていく上で大きな意義がある」と強調。「平和の党・公明党は、対話による国際社会の協調と平和を築くための新たな挑戦として平和創出ビジョンを掲げた。ビジョンの柱である核廃絶と、北東アジア安全保障対話・協力機構の実現へ全力を注いでいく」と述べました。

 さらに、来年に開催される核兵器不拡散条約(NPT)、核兵器禁止条約の両再検討会議に向け、「ICANなどNGOとの共闘の中で、日本が果たすべき役割をしっかり発信していきたい」と語りました。

 パグウォッシュ会議の広島開催については、党県議団(栗原俊二団長)や市議会公明党(西田浩幹事長)が議会質問などを通じ、財政支援や関連イベントによる啓発などを強力に後押ししてきました。