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(改正民法あす施行)養育ルールを見直し/離婚後の子の利益を最優先に

公明新聞2026年3月31日付 3面

 離婚後の子どもの養育に関する「民法等改正法」があす4月1日に施行される。父母双方が適切な形で養育に関われるよう、離婚後の親権や養育費、親子交流などのルールを改める。改正法の主なポイントとともに、公明党共同親権制度導入に関するプロジェクトチーム(PT)の伊藤孝江座長(参院議員)のコメントを紹介する。

■父母の「共同親権」導入/養育費、取り決めなくても請求可

 今回の改正で大きく変わるのが、離婚後の親権のあり方だ。現行では父母のどちらか一方が親権を持つ「単独親権」に限定されているが、父母双方が親権を持つ「共同親権」を選べるようになる。離婚後の親権規定の見直しは1947年に民法の家族法制が改正されて以降初めて。

 どちらを選ぶかは父母の協議で決め、まとまらない場合や裁判離婚の場合は家庭裁判所(家裁)が子どもの利益などを考慮して親権者を判断する。家庭内暴力(DV)や虐待の恐れがあるなど、共同での親権行使が困難と判断された場合は、家裁が必ず単独親権を定める【図参照】。

 共同親権では、引っ越しや進学先の決定など、子どもに関わる重要事項は原則として双方が共同で決める。例外として、食事や習い事の選択など日常の行為に加え、DVや虐待からの避難、緊急の手術といった「急迫の事情」がある場合は単独で判断が可能だ。

 施行日前の離婚で単独親権となっている場合でも、家裁に申し立て、子の利益のために必要と認められれば共同親権に変更できる。

 一方、養育費制度では、母子世帯を中心に不払いが生活困窮の一因となっている実態に配慮し、支払いを確保する仕組みを強化する。

 厚生労働省の2021年調査では、母子世帯で養育費の取り決めがあるのは約47%、受け取っているのは約28%にとどまる。

 子の最低限の生活の維持を支えるため、養育費の取り決めがなくても、子どもと暮らす親が別居親に対し、子ども1人当たり月額2万円を暫定的に請求できる「法定養育費」を創設する。離婚した日から養育費の適切な額がまとまるか、家裁の審判が確定するまで適用され、4月以降に離婚するケースが対象となる。

 さらに、不払い時に別居親の財産を他の債権者より優先して差し押さえられる「先取特権」を付与する。これに伴い、これまで必要だった家裁での調停などを経ずに、父母間で作成した合意文書のみで差し押さえを申し立てできるようになり、手続きが簡素化される。

 このほか、適切な親子交流の実施に向け、家裁が調停などの早期段階で、子どもの状況を最優先に考慮し、別居親との親子交流を試行的に促す仕組みなども設ける。

財産分与の請求期間5年に延長

 夫婦が婚姻中に築いた財産を分け合う財産分与では、合意に至らない場合の家裁への請求期間を離婚後2年から5年へと延長する。DV被害に遭っているなどの事情で、期間内の請求が困難なケースが少なくない現状を踏まえた。4月以降の離婚が対象で、離婚後の混乱した状況から落ち着きを取り戻し、適正な請求や取り決めができるようになると期待されている。

■子の人格尊重明記など大きな一歩/党共同親権制度導入に関するPT 伊藤孝江座長(参院議員)

 今回の法改正は、婚姻関係の有無にかかわらず、父母双方が「子どもの利益」を最優先に子の健やかな成長を支えられるよう見直されたものです。

 条文に父母双方の責務として、子どもの人格の尊重や養育が明記された点は大きな一歩であり、「子の利益のため」、離婚後も父母が互いの人格を尊重し協力することも求めています。

 現実には養育費を受け取れなかったり、親子交流が停滞するなど、課題は少なくありません。親同士の対立や複雑な思いが交錯し、当事者だけでの解決が困難な場合もあります。離婚に直面した子の生活を安定させる公的な仕組みの構築が極めて重要です。

 子どもの利益を確保する観点から、公明党は党内のプロジェクトチームを中心に制度設計の議論を重ねてきました。法改正に向けては、DVなど慎重な対応が必要な場合の適切な運用を明らかにするとともに、法定養育費の創設や安全・安心な親子交流の促進、財産分与の請求期間延長も提言しました。

 今後、改正法の運用を注視する必要があります。新たな制度の周知啓発に加え、子の養育に関する相談支援のさらなる充実などに全力で取り組む決意です。