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(与野党協議の成果)公明の政策 大きく前進/「年収の壁」対策、高校無償化 中間層含め対象広く/岡本政調会長に聞く
4日に衆院を通過した2025年度予算案を巡って、自民、公明の与党両党は少数与党である現状を踏まえ、多くの民意や生活者の声を反映するため、主要野党とそれぞれ3党協議を行ってきた。日本維新の会、国民民主党との協議で公明党が担った役割について、岡本三成政務調査会長に聞いた。
■誠実に議論、合意形成の要に
--野党との協議に公明党はどう臨んだのか。
主要野党に理解を求めてさまざまな協議を行ってきた。しかし公明党は、合意をつくり出して予算を通すためだけに協議に臨んだのではなく、われわれが進めてきた政策を実現させる思いで最大限努力し、協議に誠実に取り組んできた。
国民民主が主張する年収「103万円の壁」の解消や、維新が求める「教育の無償化」は、もともと公明党が推進してきた政策だが、その実現には安定財源が必須だ。いたずらに赤字国債を発行し返済を次の世代に押し付けることなく、責任ある与党として財源の見通しをつけねばならない。各党の主張がぶつかる厳しい交渉の中、公明党はより良い結論を導き出すため、各党の意見を丁寧に聴きながら合意形成に努めてきた。
--維新との協議では、2月25日に3党党首で合意文書を交わした。
合意した高校授業料の無償化拡充や社会保障改革は、公明党が一貫してリードしてきた政策だ。
教育無償化の実現は大事だが、公明党は、多様な子どもたちが誰一人取り残されない「質の高い教育」の確保が不可欠だと考えている。子どもの選択肢を広げていくことも重視し、授業料無償化とともに、低中所得層への教材費支援などを両輪で行うべきだと主張してきた。
結果的に合意文書は、公明党が22年に発表した「子育て応援トータルプラン」の中身を反映した内容になった。
--国民民主との協議は合意に至らなかった。
年収「103万円の壁」を見直し「178万円をめざす」とした3党の幹事長による合意は重い。その合意を果たすため、真摯に協議してきた中で合意できなかったが、引き続き協議を行っていきたい。
昨年末に123万円まで引き上げることを決めたが、今年に入って財源を確保しながら、さらなる引き上げの議論を開始した。
公明党は、物価高で苦しい生活が続く中、幅広い国民の所得を支えることを重視。所得税の課税最低限を160万円に引き上げ低所得層を恒久的に支援し、非課税枠を上乗せする年収の範囲を850万円まで広げることで、中所得層まで減税の効果が及ぶ制度設計を提案した。自民党も賛同した与党案として、まずは国会に提出した税制改正関連法案の修正案を成立させたい。
引き続き、178万円への引き上げとともに、幹事長合意に盛り込まれた「ガソリン税の暫定税率廃止」も含め、実現をめざして協議を行っていく。