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“自民一強”政権どう臨む/18日から特別国会/西田幹事長に聞く

公明新聞2026年2月15日付 1面

 8日投開票の衆院選では、公明党と立憲民主党の衆院議員らが結成した新党「中道改革連合」が野党第1党となった一方、自民党は参院で否決された法案を衆院で再可決できる3分の2を超える議席を単独で確保しました。18日に召集される特別国会で“自民一強”の政権に公明党はどう臨むのか、西田実仁幹事長に聞きました。

■(衆院選の結果)比例1千万票超は大きな期待への表れ

 --衆院選の結果について。

 真冬の厳しい寒さや大雪の中、新党「中道」と各候補者を献身的に応援してくださった全国の公明党の党員、支持者の皆さまに、心から感謝を申し上げます。中道の野田佳彦前共同代表は12日に公明党本部を表敬され、衆院選での支援に対し、心からの感謝と御礼を述べられていました。また、多くの立憲民主党出身の方々からも御礼の言葉が寄せられています。

 結果は49議席にとどまりました。中道の旗の下に集った同志の多くが当選できなかったのは痛恨の極みですが、202の小選挙区で全ての候補者が死力を尽くして戦い抜いたからこそ、結党3週間ばかりの中道への支持が広がり、その結果、比例区で1043万票と自民党の半分近くの得票に結び付いたのも事実です。

 これだけの票をいただいたことは、国民の皆さまの大きな期待の表れです。中道にはその期待に仕事で応える責任と使命があります。

 --改めて、中道の結成に至った経緯は。

 公明党は昨年10月に自民党との連立に区切りを付けた後、中道改革勢力の結集軸になると宣言して政策の5本柱を掲げ、自民、立憲、国民民主など他党の政治家に声を掛け対話を重ねてきました。

 そうした中、高市早苗首相が突然、衆院解散の意向を表明。中道改革勢力を結集する受け皿を急ぎ作る必要があると考えていたところ、立憲の野田代表(当時)からの呼び掛けに応じて、斉藤鉄夫代表(当時)が会談し、新党結成に至りました。

 --公明党出身の候補は比例区で戦いました。

 選挙協力で最も困難な作業と言えるのが候補者調整です。

 公明党も小選挙区での勝利に向けた準備を進めていましたが、突然の衆院解散で立憲との調整の時間は限られました。そこで中道としての議席を最大化するため、小選挙区では立憲出身候補の勝利を最優先する一方、公明党は比例区に回る形を取りました。両党の強みを最大に発揮する協力をめざしました。

■(「生活者ファースト」の論戦)中道、立憲、公明と連携/物価高対策など提案型議論進める

 --公明党は特別国会にどう臨みますか。

 野党としての権力のチェック機能と現実的な提案こそ、国会で公明党が果たすべき役割です。衆院選の結果で、首相は国民から政権運営への白紙委任を得たわけではありません。自民・維新の与党が衆院で圧倒的議席を持つ今、数の力で押し切るような振る舞いは許されません。緊張感を持って、監視機能を強めていきます。

 一方で、政治の光が当たっていない生活現場の声を形にする「中道政治」の真価が、これまで以上に問われています。公明党は「生活者ファースト」と「日本の平和を守る」を柱に据え、巨大与党に対峙する野党として、単に反対するだけでなく、具体的な対案をぶつける「提案型」の論戦を展開していく決意です。

 --中道、立憲との関係はどうなりますか。

 巨大与党をチェックし、政策を前に進めるには、中道、立憲、公明3党の連携が不可欠です。今後、幹事長と国会対策委員長による3党協議を定期的に行い、衆参両院で緊密に歩調を合わせる体制を整えていきます。

 この枠組みを生かして、中道改革勢力の塊をさらに拡大し、生活者の期待に応える政策を強力に推進していかなければなりません。他党にも広く呼び掛けながら、この連携を一層強化し、合意形成の要としての役割を果たしていきます。

■首相は「積極財政」の財源示せ

 --予算審議が最優先となります。

 来年度予算案の審議入りは、衆院解散の影響で例年より約1カ月遅れる見通しで、年度内成立が困難です。高市首相は自民党幹部に「年度内成立は諦めていない」と、早期成立に向けた検討を始めるよう指示したと報じられています。政府が国民に対する説明責任を果たす場が国会です。政府には丁寧な国会審議を求めていきます。

 財源の裏付けがない積極財政では、マーケットの信頼を失って金利が上昇し、国民生活を直撃します。円安によるインフレも進んでいます。今こそ、物価高から暮らしを守る生活者ファーストの政治が必要です。

 焦点は、財政規律を維持しつつ、いかに実効性のある支援策を打ち出せるかです。政府の施策に生活者の視点が欠けていないか、財源の裏付けは適正か、厳しくチェックし、中道改革の視点から「恒久的な食料品消費税ゼロ」や「ジャパン・ファンド(政府系ファンド)」の創設といった具体的な対案を示していきます。

 --そのほか焦点は。

 AI(人工知能)時代におけるリスキリング(学び直し)や公教育の再生など、人への投資が重要です。そして、日本経済のボトルネックとなっている「供給能力」の回復も不可欠です。現在、深刻な人手不足や円安に伴う資材高などにより、都市部を中心に大型再開発が相次いで中止・見直しに追い込まれています。いくら政府が投資を呼び掛けても、それを担う労働力がなければ進みません。国会論戦を通じ、現場の実態に即した施策を力強く進めていきます。

■(権力への監視機能強化)急進的な右傾化に対峙

 --高市政権の安全保障政策を巡り、急進的な右傾化を危ぶむ声があります。

 高市政権は防衛力強化で「強い日本」を築くと叫んでいます。現実的な安全保障政策は必要ですが、防衛費のさらなる増額については、既に所得税や法人税も増税されており、国民生活への影響を十分に考慮に入れなければなりません。

 また、首相は日本の国是である「非核三原則」の堅持を明言せず、核共有をも「政策転換」の範囲にあるとの疑念が消えません。核を巡る厳しい安全保障環境への対抗手段として核共有を考えるようでは、平和国家の基盤が揺らぎかねません。NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議が正念場の中、どう対応していくのか。引き続き非核三原則を堅持する方針を明確にするよう求めていきます。

 また、防衛装備品の輸出を救難や輸送など「5類型」に限る現行ルールを見直すほか、「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の前倒し改定の方針も打ち出しました。政府や与党内の協議だけで決めるのではなく、なぜ今、見直しや改定が必要なのか、国民の目に見える国会論戦で野党にも論点を示すべきです。

 --台湾有事を巡る首相の熟慮に欠ける国会答弁に中国が反発し、日中関係は悪化の一途をたどっています。

 今、特に懸念されているのは、中国による日本への軍民両用(デュアルユース)品目の輸出規制強化です。産業界からは半導体や電子部品の製造に不可欠なレアアース(希土類)の供給に支障が出るのではと、先行き不安の見方が広がっています。政府には対話を通じて、日本側が懸念する諸課題について毅然と対応するとともに、戦略的互恵関係の再構築に努めるよう求めていきます。

 --「政治とカネ」の問題も放置されたままです。

 国民の政治不信を招いた自民党派閥の、いわゆる“裏金事件”は、いまだに全容が明らかになっておらず、けじめも付いていません。

 同時に、再発防止策も重要です。公明、国民民主両党で提出した、受け手を制限する企業・団体献金の規制強化法案については、立憲側が賛同しています。特別国会での成立をめざします。与党側も賛意を示している、政治資金をチェックする第三者機関「政治資金監視委員会」の法案提出に向けても、精力的に議論を進めてまいります。