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石井代表ら能登の被災地へ/震災、豪雨からの復興必ず/地震との一体的対応を

公明新聞2024年10月6日付 1面

 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県・能登半島北部を襲い、川の氾濫や土砂崩れが相次いだ記録的大雨から、5日で2週間が経過した。公明党の石井啓一代表は同日、被害状況を調査するため同県珠洲市を訪れ、被災者を見舞うとともに、“二重被害”に苦悩する心情に寄り添い、「心の復興」へ党を挙げて支援していく考えを示した。

■避難者を心からねぎらう

 元日の地震の傷が癒えぬ中で豪雨被害に見舞われた被災地では、悲しみと落胆が広がっている。

 石井代表らはまず、泉谷満寿裕市長の案内で、被害の大きかった大谷地区を調査。同地区では、地震で山の一部が崩壊していた場所で今回、豪雨による土砂崩れが起き、珠洲大谷川に流れ込んだ。浄水場も被災し、断水が続いている。

 泉谷市長は「地震後、頑張ってきた中での豪雨被害で住民は精神的に相当ダメージを負っている。ここはもう住めないと思う方もいる」と説明。その上で「5万立方メートルとされる土砂をどうするかなど、課題は山積みだ。まずは、激甚災害に指定してもらい、復旧・復興へ国の全面的な支援をお願いしたい」と要望した。

 続いて一行は、36人の被災者が身を寄せる大谷小中学校の避難所を訪問。泉谷市長らは「9月末に仮設住宅が完成し、今月にも入居予定だったが豪雨被害で止まった。希望の光がしぼんでしまった」と説明した。

 石井代表は、避難者に「ひどい被害で、お疲れでしょう。どうかお大事に」と声を掛けながら、「具体的にご要望をいただき、形にしていきたい。一日も早く復旧・復興できるよう全力で支援する」と力強く励ました。

 男性は「私たちの生命線である道路と水道、住まいの復旧を」と要望。土石流で家がつぶれたという高齢女性は、「住まいがなくなり、未来が見えず不安だ。何とか助けてほしい」と悲痛な思いを吐露した。

■深刻な水田被害も調査

 その後一行は、同市内の農業生産法人「有限会社すえひろ」を訪れ、被害状況を調査。同法人では、地震前に115ヘクタールの水稲の作付けを計画する中、地震で地割れなどの影響を受けたが、何とか83ヘクタールの作付けまでこぎ着けた。3分の1の収穫を終えたところで豪雨被害に遭い、多くの水田が冠水し、土砂や流木が堆積。事務所も水に浸った。

 実りの秋を迎える矢先での災害に、末政博司代表取締役と従業員の政田将昭さんは、残る3分の2のうち、どの程度収穫できるか不透明とした上で「地震(の被害)がかわいらしく感じる。特に若手従業員の心が折れないか心配だ。復旧しても担い手がいない状況が生まれる可能性が高い」と危機感をにじませ、若手農業者が安心して就農できる環境づくりを要請した。

 視察後、石井代表は「被害の深刻さを痛感した。地震と豪雨を一体的な災害とみなした災害救助法の適用など、法的支援が重要であり、被災者に寄り添う復旧・復興へ国を挙げた支援が不可欠だ。党のネットワークを駆使し、『心の復興』『人間の復興』に向け総力を挙げる。農地は流木や土砂の撤去に加え、水利施設の被害も大きい。農業再生にも力を尽くす」と語った。

 石井代表は、金沢市の石川県庁で徳田博、浅野大介の両副知事とも会い、地震と豪雨災害の復旧・復興に向けた重点要望を受けた。

 調査には、党能登半島地震復興加速化本部の大口善徳本部長(衆院議員)と塩田博昭事務局長(参院議員)のほか、党石川県本部の谷内律夫代表(県議)、坂秀明金沢市議、林直史加賀市議、田代敬子、原卓二の両白山市議、道下政博津幡町議、田端雄市能登町議が同行した。