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新生公明党、識者に聞く<ダイジェスト版>

公明新聞2025年12月28日付 1面

 公明党は長年続いた自民党との連立に区切りを付け、「中道改革勢力の結集軸」をめざし、野党として再出発しました。新生公明党をどう見るか。本紙に今月掲載した識者4氏のインタビュー内容をダイジェストで紹介します(掲載順)。

■声なき声への感度高めよ/拓殖大学教授 河村和徳氏

 野党となり、独自カラーを出せる立場になったことは大きい。政権に対して是々非々の立場で臨むに当たり、与党経験を生かしてもらいたい。

 「中道政治」を掲げている公明党には、寛容と包摂の精神で、国民の切実な声をすくい上げ、具体的な解決策へと導く役割に期待したい。

 まずすべきことは、与党として過ごした四半世紀の徹底的な「総括」だ。PDCA(計画、実行、点検、修正)サイクルで言えば、大規模に点検するタイミングである。

 さらに、野党となった今こそ、「大衆とともに」の立党精神を再確認するべきだ。自分たちの足で情報を集め、咀嚼し、政策を練り上げるといった現場主義に立ち戻る必要がある。

 地方議員も含めて、社会課題や声なき声を感知する「センサー」の感度を高めることが欠かせない。公明党はこれまで、伝統的に対面でのコミュニケーションを大切にしてきたが、それだけでは届かない層も増えている。対面とデジタルの両輪を磨く必要がある。

 SNS選挙運動は、平時の活用で差がつく。デジタルでしかつながれない人もいるという発想で情報発信しなければならない。

 ネットワークの力を最大限に発揮するには、自治体間で政策を比較・競争させる視点が必要だ。成功事例も失敗事例も共有し、切磋琢磨することで組織全体の政策立案能力も底上げされる。こうした強みを一層生かし、国でも地方でも存在感を高めてほしい。

■大衆に寄り添う力発揮を/中央大学教授 中北浩爾氏

 今、日本政治は非常に不安定化している。「連立」と称しているが、日本維新の会は閣外協力にとどまり、安定した政権の枠組みとは言えない。

 不安定化の、もう一つの原因は左右両極のポピュリズムの台頭だ。SNSでは真偽不明で極端な意見があふれ、社会の分断をあおっている。

 こうした中で、中道がどう踏ん張るか、真価が問われている。「いくら財政出動をしても大丈夫だ」といった極端な主張が横行しているが、常識に基づき、社会の持続可能性を重視し、統治に責任を持たなければ、国が持たない。

 公明党は、社会的に弱い立場にある人々を取り残さない形で組織化し、中道に導いてきた。そして人間主義を掲げ、国民的な合意形成を進める歴史的役割を果たしてきた。本来の強みである大衆に寄り添う力を発揮し、社会に根差した中道政治を主導することを期待したい。

 それと同時に「日本を前に進める」というメッセージを打ち出せなければ、人々の心には響かない。「中道」とともに「改革」にも意識を置いてほしい。

 公明党が「中道改革勢力の結集軸」となるテーマの一つは、社会保障改革だ。日本は団塊ジュニアが65歳以上になる「2040年問題」を抱えている。制度の持続可能性を保ちつつ、現役世代も納得できる制度に仕上げなければならない。こうした政策を進めていくため、公明は他党と連携し、合意形成の軸になってほしい。

■安保政策は現実路線で/静岡県立大学特任教授 小川和久氏

 安全保障政策を巡って公明党は、右寄りの路線に対して常にくぎを刺し、現実的な路線を取ってきた。にらみを利かせてきたということだ。平和安全法制はその象徴的な例だろう。

 平和安全法制の議論では、公明党がいたからこそ、専守防衛を堅持しつつ、日米同盟を強化させる方向へ大きな一歩を踏み出せたと言ってもいい。平時に日本海で警戒に当たっている米軍のイージス艦が他国から狙われた場合、日本の自衛隊が米艦防護できるようになった。抑止力、対処力が高まり、日米同盟の信頼性は格段に向上した。

 基本的に外交安全保障は継続性が求められる。公明党は野党になったからといっても、責任ある立場で物を言っていかなければいけない。公明党の意見は、政府・与党も耳を傾けざるを得ないはずだ。そうすれば国民の中に「さすが公明党」という評価が、おのずと出てくるのではないか。

 公明党が提案する多国間の枠組みは進めるべきだが、期待しすぎるのは避けるべきだ。国連の機能強化や改革への取り組みも進めながら、日米同盟を深化させ、多国間協力の枠組みを構築していくことが重要だ。

 公明党には、増大する防衛費の使い道を厳しくチェックしてほしい。ぜひ独自に調査研究をし、予算の優先順位を変えさせたり、無駄を削減させるべきだ。公明党は、いま正念場だ。与党経験が豊富な野党として、責任を前面に出し、外交安保などの問題で、政府にどんどん提言するべきだ。

■「誠実な仲介者」の役割期待/東京大学教授 谷口将紀氏

 平和、福祉と並んで「清潔な政治」を党是に掲げる公明党が、政治資金制度という政治のインフラに関わる問題を要因として連立を離脱したことは、何のために公明党があるのかを、党内外で改めて確認する機会になったのではないか。

 2024年分の政治資金収支報告書では、高市早苗首相が代表を務める政党支部で寄付上限の超過が見つかるなど、訂正が相次ぎ、事実上の個人後援会になっている政党支部では適切に政治資金をチェックできないことが明らかになった。

 政治資金規正法の改正に向け、企業・団体献金の受け手を政党本部と都道府県単位の組織に限定することなどを提案している公明案をたたき台に、与野党での合意をめざすべきだ。

 今、党利党略、私利私欲に基づいた衆院選挙制度の変更が行われようとしていることを強く懸念している。選挙制度は衆参両院それぞれの権能、役割を考えて、それに沿った制度に変えることが本来の筋道だ。

 公明党の特徴の一つは、何か特定の経済的利益を背負っているわけではない点だ。党利党略から離れた「誠実な仲介者」として、政党間、与野党間でまとめ役を務めてほしい。

 平成の政治改革で公明党は、金権政治の元凶である中選挙区制を廃止するという大義のために、自らの利益を顧みずに合意形成を主導した。今回の選挙制度改革においても、国民が納得できる筋の通った議論をリードしてもらいたい。