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選択的週休3日制、官民でじわり
働く人のライフスタイルが多様化する中、柔軟な働き方の普及へ、本人の希望に応じて週休3日の働き方を選べる「選択的週休3日制」が一部の自治体や企業に広がりつつある。自治体の事例などを紹介するとともに、働き方改革などに詳しい東京大学名誉教授の佐藤博樹氏に話を聞いた。
■千葉県が導入、希望者は休みを1日追加
「週3日休みになって家事・育児に使える時間が増えた」「資格取得のために1年間だけ利用できて助かった」など、社員の多様で柔軟な働き方を推進する「選択的週休3日制」。この制度を先進的に導入している自治体の一つが千葉県だ。
同県は2024年6月から、フレックスタイム制とともに同制度を導入。希望者は毎週1日に限り、土日以外の平日に休日を設定できる。原則として対象は全職員で、利用の理由は問わない。
同県の制度は、週休2日と3日のどちらを選んでも、週の総労働時間と給与は変わらない仕組みとなっている。週休3日では、平日休んだ1日分の勤務時間を他の4日間に割り振り働く。申請により週休3日と2日を切り替えることも可能だ。
■「仕事のやる気上がった」
導入から今年2月までに、県庁の行政事務などを担う知事部局の職員223人が利用。子育てや介護、趣味など、さまざまな理由で利用されている。実際に週休3日を選択した職員からは「休みが増えて公私ともに充実し、仕事のモチベーションが上がった」などの声が寄せられている。
県人事課の担当者は「制度導入に伴い、勤務時間の管理方法の見直しや、システムの改修などに取り組んだ。働きやすい職場環境をつくり、より質の高い行政サービスを提供できれば」と話す。
選択的週休3日制を導入する自治体は、東京都、茨城県、熊本市など各地に増えつつある。
■民間が乗り出す
アパレル会社や生命保険会社など民間企業も導入に乗り出す。ある中小企業は、子育て中などでも社員が仕事を継続できるようにして人材を確保しようと、選択的週休3日制を導入。週の所定労働時間と給与を減らす形で運用しているという。
一方、仕事の特性や企業の規模などにより、必ずしも同制度が適するとは限らず、導入は一部にとどまるのが実態だ。企業約4000社を対象に実施した厚生労働省の24年調査では、選択的を含む「何らかの週休3日制」を採用する企業の割合は、わずか1・6%だった【グラフ参照】。
■中道の公約に
政府は21年ごろから、働き方・休み方改革の一環として選択的週休3日制を推進。公明党が与党時代の21年度に閣議決定した「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)には、選択的週休3日制の普及が盛り込まれた。
また、中道改革連合が先の衆院選で掲げた公約にも、週休3日制など働き方の選択肢を増やす支援を明記していた。
■離職防止など期待できる/東京大学名誉教授 佐藤博樹氏
週休2日制で週5日勤務することが一般的な企業で、従業員が希望する一定期間に限り週休3日制を選べる制度が「選択的週休3日制」だ。週休3日制と選択的週休3日制は異なる制度で、両者は混同されることが多い。現在、政策的に議論されているのは後者だ。選択的週休3日制には、主に三つのタイプがある【図参照】。
第一は、週休日を1日増やして週休3日とするが、週の所定労働時間・給与を維持するものだ。この場合、削減された1日分の所定労働時間を残り4日間に振り分けて働く。例えば、変更前の週の所定労働時間が40時間なら、週休3日制の下では1日の所定労働時間は10時間となる。こうした働き方の導入には、労働基準法上のルールに対応するため、変形労働時間制などの適用が必要だ。
第二は、週の所定労働時間を、例えば40時間から30時間に削減し、削減分の時間に応じて給与も減額するものだ。現在、比較的多く導入されているタイプだ。第三は事例は少ないが、給与を維持したまま週の所定労働時間を削減するものだ。
選択的週休3日制は、従業員にとっては働き方の選択肢を広げ、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の向上につながる可能性がある。
また、企業にとっても、人材確保や離職防止といった効果が期待できる。どのタイプを採用するかによって企業が対応すべき課題が異なる。特に、同じ職場内に週4日勤務者と週5日勤務者が混在することになるため、業務配分や評価のあり方など、マネジメント上の工夫が不可欠だ。企業は選択的週休3日制に限らず、仕事の特性や従業員のライフスタイルに応じた柔軟な働き方の整備が重要となろう。