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医療的ケア児・者の命守る/災害避難時に搬送支援/横浜市
横浜市はこのほど、人工呼吸器などが欠かせない医療的ケア児・者を災害時に指定避難所へ円滑に搬送するため、市内の民間救急事業者11社と協力協定を締結した。これにより、障壁とされてきた避難時の足が確保される。
■1人に「2社」体制、民間救急と協定締結
市は昨年10月から、市医師会や横浜在宅看護協議会と連携し、医療的ケア児・者の健康状態などを熟知した看護師が、避難先や搬送ルートを盛り込んだ個別避難計画の作成を進めている。今回の協定は、避難計画の実効性を高めるための取り組みで、クラウドシステムを活用した情報共有により、迅速な安否確認と搬送につなげる。
現在、人工呼吸器や自動腹膜かん流装置(腹膜透析)の医療機器を使用する市民は約600人。当事者は、リクライニング機能を搭載した車いすを固定できる専用車両や移動中の医療的ケア、機材の準備が不可欠で、避難所までの搬送に大きな困難が伴う。
協定では、当事者1人に対して搬送協力事業者を「2社」に設定。平時から当事者家族と避難方法の確認を実施する。広域災害で1社が被災や対応不能になった場合でも、もう一方の事業者がカバーできるバックアップ体制を整えた。
訪問介護や障がい児・者の通所支援を行う関係者は「医療技術の進歩により在宅で医療的ケアを受ける人は増加傾向にある。いざという時に救急事業者による避難所への搬送体制があると心強い」と期待する。
市地域医療課在宅医療連携担当の石川裕課長は、2026年度にかけて「福祉避難所に医療機器を動かす主要電源を確保する」と説明。同時に、指定避難所の拡充や救急事業者への協力を働き掛けていくとしている。
■公明、個別計画の策定訴え
個別避難計画の策定を巡っては、公明党横浜市議団(斉藤伸一団長)が、災害時に自力避難が困難な医療的ケア児・者の安全確保や医療機器の電源確保に向け、市の取り組みを後押し。災害弱者を一人も取り残さない視点から、予算要望や議会質問を通じて避難計画の推進と体制強化を主張してきた。
斉藤団長は「高齢者や子ども、障がいがある人などいわゆる社会的弱者への対応も重要だ。市民の命を切れ目なく守る体制構築に注力していく」と決意している。